この記事は、中森明菜「サザンウィンド」の歌詞の意味を考察します。
ミステリアスなイントロにロックな曲調、ひと夏のアバンチュール的な歌詞で知られるこの曲は中森明菜の代表曲のひとつです。
それでは、中森明菜「サザンウィンド」の歌詞の意味を読み解いていきましょう。
中森明菜「サザンウィンド」はどんな曲
【サザンウィンド】
アーティスト:中森明菜
作詞:来生えつこ
作曲:玉置浩二
リリース:1984年4月11日(ワーナー・パイオニア)
★チャート最高順位
週間1位、1984年度年間10位(オリコン)
「サザンウインド」は1984年4月に中森明菜の8枚目のシングルとして発売されました。
この曲は来生えつこの作詞、安全地帯で知られる玉置浩二の作曲によるものです。
「サザンウインド」は発売後、すぐに人気となりオリコンのシングルチャートで発売直後の1984年4月に週間1位を記録、そして同年年間でも10位、売上枚数は54.3万枚のヒットとなりました。
南国的な雰囲気のこの曲は中森明菜のベスト・アルバム「Burning Love ~情熱の夏ベスト~」にも納められています。
中森明菜「サザンウィンド」の歌詞の意味を考察
中森明菜の「サザンウィンド」はアイドルの曲としては、少し過激なところもあるように思われますが、考察していきましよう。
タイトルのサザンウィンドは南風と言う意味です。
南のリゾート地に降り立った女性・・。
海風が心地よくこのバカンスにウキウキしています。
「パナマ帽」は夏用のつば付き帽子。お洒落な麦わら帽子みたいな物ですね。
指でクルクルと回して南国の雰囲気に心躍る様子です。
店で果実酒を見知らぬ人から奢って貰います。
見ると白い椅子に頬づえついてついている男性。足を組んでこらちを見ているようです。
ドラマで見るような「あちらのお客様からです」みたいなものでしょうか。
1杯どう?みたいな背中越しからの突然のメッセージに戸惑うけれども彼女自身は落ち着いて憂鬱そうに髪をかきあげます。
でも内心は心躍ってドキドキ火照っていたかも知れません。危険な誘惑に乗りそうになり、木陰で酔いと火照った体を休めます。
「メランコリック」という意味は憂鬱で物思いに沈むさまですが、基本的にはマイナスなイメージがあります。
この曲には、アンニュイ、でもなくメランコリックという言葉が使われます。
主人公の女性はありきたりなナンパなら、ここはお断りよ!といった所でしょうか。
もしくはせっかくの一人旅なのに邪魔しないで?とウザったらしく感じたかも知れません。
そして使われる「ポーズ」という言葉。
ポーズとはわざとらしい気取った態度や、見せかけだけの態度という意味があります。
この歌詞ではどちらも合ってあっていそうです。
男性に背中を向けてヒラヒラと手を振りあなたはナシね!と立ち去ってしまったような印象ですね。
この辺りの男性はナンパに慣れているのでしょう。
たくさん声をかけられたに違いありません。
きっとイケメンも多いのか、「目移りするわよシーサイド」と歌詞に書かれています。
彼女がナンパをされに来たのか、本当に一人旅の途中なのかは書かれていないので詳しく知ることは出来ません。
「危険なこころ」と書かれていることからも満更でも無いことが分かります。
きっといい男性が居たら一夜を共にしてもいいくらいと思ってそうなのでしょう。
1番の歌詞には「白いチェアー」とありますが、2番では「白いヨット」。
南国の太陽に白いものは眩しく感じられますね。
ヨットの上の美少年が手を振ったのを、手を振り返してしまうくらい浮かれている様子が分かります。
ナンパしてくる男性はかなりいるようで、ホテルに戻りシャワーを浴びたあとも窓から声をかけてくる男性が・・。
1番では憂鬱そうに髪をかきあげてお断りしましたが、今度は挑発に乗るように髪をなびかせてウインクをしてみます。
こんな所でナンパに乗ったら危険なことは分かっているのでしょうが、開放的な気分になってしまうのが一人旅と、南国のこの暑さ・・。
「いたずら気味にウインクを」してからかってみます。
「危険かしらね」と終わっているので、誘いに乗ることは無さそうなのですが、危険な香り漂うアダルティックな内容となっていますね。
ひと夏の恋、などとあるように気分が盛り上がってしまう季節。
また、南国の雰囲気もそうさせてしまう・・ということなのでしょう。
まとめ
中森明菜「サザンウィンド」の歌詞の意味を考察しました。
この曲が発売されたバブル期直前の1984年では、女性の一人旅は気軽とまではいかなかったかもしれませんが、今ではおひとりさまという言葉があるほど女性一人旅は普通に出来ます。
この後、女性の社会進出も本活化していきますが、中森明菜はこの曲以降アダルティックな歌が多くなったように感じます。
お金にも人間関係にも大らかな時代を中森明菜の歌が駆け抜けていったのでしょうか。
中森明菜が歌うこうした歌や曲のイメージで実際に時代が「そうなって行った」と考えても面白いかも知れません。
また、中森明菜と同時期にアイドルだった松田聖子と対比させるためにそうしたイメージを狙ったのかもしれません。
この曲と、皆が気が付き始めたバブル期の予感、そんな時代を先取りして作詞作曲され、そして中森明菜が歌ったこの曲を今聞くと当時の勢いのある時代を懐かしく振り返ることができることでしょう。
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