この記事はカリンの育て方、地植え・鉢植え、肥料や剪定について紹介します。
カリンは喉の炎症を鎮めるのど飴で知られます。
花や樹形、幹模様も美しく庭木や盆栽としても人気があります。
あなたもカリンの地植え・鉢植えの育て方、肥料や剪定を知り、育ててみませんか。
これを読めばカリンの育て方が分かり、果樹栽培の楽しさに気がついていただけることでしょう。
カリンの基本情報は?
まずは基本情報を見てみましょう。
基本情報
園芸分類 | 果樹 (バラ科) |
形態・樹高 | 高木 ・ 3~3.5m |
結実まで | 庭植え 4~5年 、鉢植え 3〜4年 |
栽培適地 | 北海道南部以南の地域(雨が少なく夏涼しいところ) |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | ふつう |
耐陰性 | ふつう |
受粉樹 | 不要 |
特性・難易度 | 落葉性・栽培は普通レベルで中級者向け |
カリンは中国原産の果樹です。
カリンには果実や樹形など異なるいくつかの系統がありますが、特に品種はなく、また1本で実がなるので受粉樹は不要です。
暖地で栽培すると生育が旺盛になり、生理落果が多くなりやすくなります。
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カリンの栄養成分と効能
カリンには健康に良い栄養成分が多く含まれます。
有名なのは、のどの炎症や痛みを緩和したり、咳を止める効能です。
カリンに含まれるアミダグリンは加熱やアルコールに漬けて可能することでベンズアルデヒドに変化します。
ベンズアルデヒドには抗菌・抗炎作用があります。
トリテルペン化合物も含まれ、殺菌作用があるので喉の炎症を防ぎます。
これらの成分が喉の不調を整えてくれます。
また、クエン酸やリンゴ酸、ビタミンC、ペクチン、カリウムなども含まれます。
クエン酸やリンゴ酸は疲労回復に効果があります。
ビタミンCには皮膚や粘膜の健康維持や有害な活性酸素から体を守る抗酸化作用があり、成人病予防に効果があります。
ペクチンなどの食物繊維には整腸作用があり、便秘予防に効果があります。
カリウムは塩分を排出する効果があり、高血圧に効果があります。
このようにカリンは健康に良いさまざまな栄養成分が含まれます。
次はカリンの年間の栽培カレンダーです。
カリンの栽培カレンダー
次に栽培カレンダーにもとづいて、植付から剪定、開花、果実管理、施肥、収穫について説明していきます。
カリンの植え付け(地植え、鉢植え)は?
地植え 12~3月
植え付ける場所は、乾燥に弱いので適度に湿気のある場所が適しています。
直径40cm×深さ40cmほどの植え穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土などの有機質肥料を混ぜます。
その土の半分に牛ふん、油かすを混ぜて埋め戻し、その上から残りの土を入れます。
支柱を立て固定し、地上より40~50cmのところで切り返し、水鉢をつくりたっぷりと水を与えます。乾燥に弱いため、乾燥する場所では株元にワラなどで覆います。
鉢植え 12~3月
基本的には地植えの場合と同様です。
1年生の苗木は7~8号(直径21~24cm)位の鉢を使用します。
用土は果樹用の培養土を使用します。
鉢底ネットを敷き、鉢底石を入れ、鉢の半分位の深さまで土を入れます。
次に植木の根を放射状に広げて穴の中央に植え、残りの土をかけ、支柱を立てを固定します。
樹形は、模様木仕立てが向いています。乾燥に弱いので土の表面をワラなどで覆います。
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植え替え 12~3月
鉢植えの場合は鉢の中で根が詰まってしまうのを防ぎ、通気を良くするために行います。
鉢の大きさや成長の度合いにもよりますが、2年に1回程度は必要です。
また、鉢植えから地植えにする植え替えする時も植え付けと同様に12~3月が適しています。
カリンの仕立て方、剪定は?
実のつき方
カリンは前年に伸びた短果枝(長さ10cm程度の短い枝)の先端付近に花芽(混合花芽)がつき、そこから春に新梢が伸び、先端付近に花や果実がつきます。
長果枝(長さ30cm以上の長い枝)では枝の基部から中央部にかけて花芽がつきます。
仕立て方
カリンは直立性の木で放任すると10m近くになります。
主幹を管理しやすい高さで止めて、主幹から発生する主枝を2~4本にする変則主幹形仕立てにしてコンパクトな樹形に仕立てると、作業や収穫がしやすくなります。
剪定の仕方
剪定は、枝の先端部は花芽がつくのでなるべく切り返さないようにします。
枝の背から真上に長く伸びた徒長枝を間引くと共に、生かしたい徒長枝は先端を1/3ほど切り返して花芽がつきやすい短果枝を多く発生させるようにします。
ひこばえ、内向枝、枯れ枝などの不用な枝も間引いて日当たりや風通しを良くします。
カリンの開花・受粉・果実管理は?
開花・受粉 4月下旬~5月上旬
春にピンク色の美しい花が咲きます。
カリンは、自分の花粉で受粉するので通常は人工受粉の必要はありません。
しかし、都市部などで訪花昆虫が少ない場合などは筆先で花の中をかき混ぜるようにして人工受粉させるとより確実に実がつきやすくなります。
果実管理 5月下旬~6月上旬
果実のついている期間が長いため、実が多くついた場合には養分が不足して、翌年花芽ができにくくなる隔年結果が起きやすくなります。
多く実がついた場合には、小さな実や形の悪い実などを摘み取ります。
摘果をする場合は、葉20~25枚に1菓を目安に生育の良い実を残します。
実を摘み取った後に、袋かけを行うと病害虫の予防になります。
カリンの収穫は?
いよいよ楽しみな収穫の時期です。
収穫 9月〜11月上旬
果実が緑色から黄色に変わり、香りがしてきたら収穫の時期です。
カリンは固くて渋みがあるために生食はできないので、カリン酒や砂糖漬けやはちみつ漬けなどに利用します。
カリンの肥料の与え方、水やりは?
肥料の与え方
元肥 12~1月
地植えの場合は、肥料を与えなくても育ちますが、隔年結果を防ぐため、鶏ふんなどの有機肥料を少量与えます。
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水やり
植え付けの直後や乾燥する時期はたっぷりと水やりをします。
夏場は土が乾燥しないように、特に鉢植えの場合は注意します。
カリンの病気や害虫は?
カリンの病害虫は、シンクイムシ、赤星病、モンクロシャチホコなどに注意します。
シンクイムシ
6~9月に発生します。果実に穴をあけて内側を食い荒らします。
袋かけをして予防します。
赤星病
4~6月に発生します。庭木のビャクシン類に病細菌が寄生し、4月頃にカリンに移動し発病し、葉に褐色の斑点ができ、葉が枯れ落ちます。
ビャクシン類を周辺に植えないようにして、病斑部分は取り除き焼却します。
モンクロシャチホコ
夏に大量に発生し、葉を食べます。
放置すると樹全体を食害するため、薬剤を散布します。
まとめ
カリンの育て方、地植え、鉢植え、剪定、肥料、収穫、水やり、病害虫などについてまとめました。
カリンには、のどの炎症を鎮めたり、咳止めの効能があります。
その他にも健康に良い多くの栄養成分が含まれます。
果実は固くて渋みがあるために生食はできませんが、カリン酒や砂糖漬けやはちみつ漬けなどにして味わいます。
花や樹形、幹模様も美しく、また独自の芳香もあり、古くから鑑賞用として庭木や盆栽としても人気があります。
あなたもカリンを育て、美しい花や樹姿を愛でたり、健康に良い果実を収穫して味わってみませんか。
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