この記事はリンゴの木の育て方、地植え・鉢植え、剪定や肥料を紹介します。
リンゴは人気の果実ですね。「1日1個のリンゴは医者いらず」のことわざのとおり、健康にも良いです。
そんな魅力的あるリンゴの木の育て方、地植え・鉢植え、剪定や肥料を知り、育ててみませんか。
あなたもこれを読めばリンゴの木の育て方が分かり、果樹栽培の楽しさに気づいていただけることでしょう。
リンゴの木の基本情報、主な品種、栄養は?
まずは基本情報を見てみましょう。
基本情報
園芸分類 | 果樹 (バラ科) |
形態・樹高 | 高木 ・ 2~5m |
結実まで | 庭植え 5~7年(矮性台木の苗木は3年)、鉢植え 3年 |
栽培適地 | 北海道地方中部~九州地方北部 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | ふつう |
耐陰性 | 弱い |
受粉樹 | 必要 |
特性・難易度 | 落葉性・栽培は普通レベルで中級者向け |
主な品種と特徴
リンゴの主な品種の特徴は以下のとおりです。
品種名 | 特徴 |
さんさ | 早生種。小中果。暖地栽培にも向く。他の主要品種と組み合わせると結実しやすい。 |
つがる | 早生種。赤色で実が大きい。甘みが強く酸味が弱い。病気に強く、暖地栽培にも向く |
アルプス乙女 | 中生種。実は小さいが栽培が容易で初心者でも育てやすい。1本でも実がなり、暖地にも適する。 |
紅玉 | 中生種。小中果。甘味と酸味のバランスがよく、加工にも向く。 |
陸奥 | 中生種。中大果。受粉樹には向かない。受粉樹には「紅玉」をするのが良い。 |
王林 | 晩生種。中果。黄緑色で甘みが強く、香りがよい。長期間保存でき人気が高い。 |
ふじ | 晩生種。中果。国内で一番多く栽培されている代表品種。甘みが強く、美味しい。暖地栽培に向く。 |
クラブアップル | 晩生種。小さな実が鈴なりにできる。限られたスペースでも栽培できる。受粉樹にも適している。 |
「アルプス乙女」や「クラブアップル」などの小さな実がなる品種は観賞用としても楽しいとともに主要な品種の受粉樹用にも利用できます。
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リンゴの栄養は?
「1日1個のリンゴは医者いらず」のことわざがあるように健康に良い成分が多く含まれています。
リンゴには、クエン酸、リンゴ酸といった有機酸、カリウム、ペクチン、ビタミンC、皮にはポリフェノールが含まれます。
クエン酸、リンゴ酸は、胃腸の働きを良くし、疲労回復や炎症を抑える作用などがあります。
カリウムには体内の塩分を排出して血圧を下げる効果があり、高血圧に良いです。
ビタミンCには抗酸化作用があり、老化を予防するアンチエイジング、肌の炎症やダメージを回復する美肌の効果があります。
ペクチンにはコレステロール値や血糖値の上昇を抑え、腸内環境を整える働きがあり、便秘や下痢にも効果があります。
このようにリンゴには健康に良い成分が多く含まれています。
リンゴの木の栽培カレンダー
年間の栽培カレンダーです。
次に栽培カレンダーにもとづいて、植付から剪定、開花、果実管理、施肥、収穫について説明していきます。
リンゴの木の植え付け(地植え、鉢植え)は?
地植え 11月~3月
植え付けの時期は11月〜3月が適しています。
日当たりが良く、水はけの良い場所に植え付けます。
寒冷地では3月の植え付けが良いです。
直径40cm×深さ40cmほどの植え穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土などの有機質肥料を混ぜます。
その土の半分に牛糞、油かすを混ぜて埋め戻し、その上に腐葉土だけをまぜた残りの土を入れます。
苗木は深植えをしないように気をつけます。
支柱を立て固定し、地上より50~60cmのところで切り返し、水鉢をつくり水を与えます。
鉢植え 11月~3月
栽培の仕方は基本的に地植えと同じです。
リンゴの木は大きく成長するので、鉢栽培では「アルプス乙女」や「クラブアップル」などの小型の品種が適しています。
庭植えと同様に2品種以上用意し、11月~3月に植え付けます。
1年生の苗木は7~8号(直径21~24cm)位の鉢を使用します。
用土は果樹用の培養土に緩効性の固形肥料を混ぜて使用します。
植え付け後、風が吹いた時に苗木が倒れないように支柱を立て固定します。
樹形は、植え付け時に主幹を斜めに植え、鉢と同じ高さで剪定し、翌年、前年とは逆の位置の芽の上で主幹を切り返し、枝を左右バランスよく配置する模様木仕立てが向いています。
施肥は、玉肥を数個、鉢のふちに押し込むように与えます。
水やりは、鉢の土が乾いたらたっぷりと水を与えます。夏場の7〜8月は朝夕に水を与えます。
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植え替え 12月~3月
鉢植えの場合は鉢の中で根が詰まってしまうのを防ぎ、通気を良くするために行います。
鉢の大きさや成長の度合いにもよりますが、2年に1回程度は必要です。
また、鉢植えから地植えにする植え替えする時も植え付けと同様に12~3月が適しています。
次は仕立て方と剪定方法についてです。
リンゴの木の仕立て方、剪定は?
実のつき方
リンゴの木は、短い枝(短果枝)の先端の花芽(混合花芽)に質の良い実がつきます。
長い枝の先端にも花芽はつきますが、実は小さくなります。
仕立て方
仕立て方は、側枝水平形仕立てがおすすめです。
樹高が高くならないようにした矮性の台木の苗を利用すると、樹形の維持がしやすいです。
側枝水平仕立ては枝を誘引して水平に寝かせることにより、質の良い実がつく短果枝が多く発生して収穫量が増えます。
垣根などを利用して枝を貼り付けるように誘導するパレット仕立ても良いです。
剪定 1〜3月
剪定は、樹が休眠する冬期1~3月の間に行います。
まずは枝の上面から真上に伸びる徒長枝(直上枝)、枝どうしが交わる交差枝、古い枝などの不要な枝を間引いて取り除きます。
その後、残した枝に短果枝をつけるための剪定を行ないます。
長い枝の先端を1/3~1/2程度切り返し、誘引して枝をできるだけ水平に寝かせると、質の良い短果枝が出やすくなります。
リンゴの木の開花・人工受粉は?
開花・受粉 4月下旬~5月中旬
春に白く美しい花がいっせいに開花します。
その美しさは、古くから多くの歌の題材になっているほどです。
多くの品種は1本では結実しないので、相性の良い別品種の花粉をつけて人工受粉をします。
1つの花芽から5~6個の花が咲きますが、中心の花(中心花)に質の良い実がつくことが多いので、中心の花に念入りに花粉をつけます。
開花期が異なる品種の場合は、雄しべの花粉を保存しておき、それを受粉させます。
リンゴの木の果実管理は?
摘果 5〜6月
結実したすべての実をつけたままにすると実が小さくなったり、翌年の花芽が少なくなったりするので、2回に分けて摘果を行ないます。
1回目は開花後2〜3週間後、結実したらできるだけ早く、中心果のみを残して側果はすべてとり除きます。
2回目は生理落下が終わったあとに行ないます。
1回目に残した中心果のなかから、形の悪い実、病気や害虫にあった実などを中心にとり除き、最終的に大玉品種では4〜5花房に1果、中玉品種は3花房に1果を残すようにします。
袋かけ 5〜6月
2回目の摘果後に袋がけをすると、病害虫の被害を防いで薬剤の使用を減らすことができます。
市販の果実袋をかけ、すき間ができないようにしっかり口を閉じます。
リンゴの木の収穫は?
いよいよ楽しみな収穫の時期です。
収穫 9~11月
熟して色づいたものからもぎとります。手で持つと簡単にとれるくらいになったら収穫どきです。
樹上で完熟した実は、風味が良くなります。
果実は生食するほか、ジャムやジュース、果実酒、焼きリンゴなどに利用できます。
リンゴの木の肥料と水やりは?
肥料
元肥 12~1月
元肥は、堆肥や油かすなどの肥料の効きが緩やかで、一定期間効果が続く有機質肥料を与えます。
追肥 3月
萌芽前に化成肥料を与えます。
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水やり
植え付けの直後や乾燥する時期はたっぷりと水やりをします。
土の表面が乾いたら水やりを行います。特に暑さの続く夏場には注意します。
リンゴの木の病気や害虫は?
病害虫の種類は多いので、チッソ肥料の多用を避けて樹の健康に注意し、早期発見を心がけます。
斑点落葉病
高温多湿な梅雨時期に発生します。葉の表面に褐色の病斑があらわれ、落葉します。
薬剤を散布します。落ち葉を処分し、風通し、水はけをよくします。
うどんこ病
梅雨時期に枝葉や果実にうどん粉をまいたような胞子が発生し、葉が枯れます。
感染した部分を取り除くか薬剤を散布します。日当たりや風通しを良くします。
ハダニ
葉に発生し、葉から吸汁し木を弱らせます。夏の高温期に大発生するので早期に発見しブラシでこすり落とすようにします。
高温乾燥を好むので剪定で混んだ枝を除き、風通しをよくして熱がこもらないようにします。
まとめ
リンゴの木の育て方、地植え・鉢植え、剪定、人工授粉、果実管理、収穫、肥料、水やり、病害虫についてまとめました。
リンゴの木は春に白く可愛らしい花が咲きます。
その後、果実がだんだんと大きくなり、そして熟していく姿を見るのは楽しみです。
熟した果実はとても美味しく、有機酸、カリウム、ペクチン、ビタミンC、ポリフェノールといった健康に良い成分が含まれます。
果実は生食するほか、ジャムやジュース、果実酒、焼きリンゴなどに利用できます。
春に咲くリンゴの花は可愛らしく、ほんのりと漂う甘い香りが素敵です。
秋に樹上で完熟した果実は本当に美味しいです。
リンゴの木は他の栽培が容易な果樹と比較すると病害虫に注意する必要がありますが、手間をかけた分、収穫の喜びもまた格別なものとなります。
また、リンゴの木の栽培をとおして自然とふれあったり、季節の変化を敏感に感じることができます。
あなたもリンゴの木を育てて美しい花を愛でたり、美味しい果実を味わってみませんか。
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