この記事は、 ダ・カーポ「野に咲く花のように」の歌詞の意味を考察します。
1983年に発売されたこの曲は、心温まるメロディ、優しく語りかけるような歌唱が人々の心をつかみ、人気となりました。
それでは、ダ・カーポ「野に咲く花のように」の歌詞の意味を読み解きます。
ダ・カーポ「野に咲く花のように」はどんな曲
【野に咲く花のように】
アーティスト:ダ・カーポ
作詞:杉山政美
作曲:小林亜星
リリース: 1983年7月21日(CLIMAX RECORDS)
「野に咲く花のように」は1980年〜1997年に放映された画家・山下清を主人公としたTVドラマ「裸の大将放浪記」の主題歌として作られました。
たくさんのCMソングを作曲した小林亜星の優しいメロディ、夫婦デュオであるダ・カーポの温かなハーモニー。
この曲は、視聴者の熱烈な後押しもあり1983年にレコード化され、そして1992年には小学校の音楽の教科書にも掲載されるようになりました。
ダ・カーポ「野に咲く花のように」の歌詞の意味を考察
野に咲く花には、園芸用に改良された花とはまた違った趣があります。
野に咲く花はいつでもどこでも、子どもたちの格好の遊び相手です。
時には冠や首飾りになり、少女たちの目を輝かせ、時には笹の船に乗り、いつ終わるとも知れない旅に出かけます。
なかには「今の子供たちは見向きもしないだろう」、そう思われる方もおられるかもしれません。
しかし、子どもたちは遊びの天才です。
ひとたび大自然のなかに解き放たれたら、たちまち洋服を土だらけにして、草花と戯れることでしょう。
大人から見ても、野の花は子供時代の記憶を呼び起こし、郷愁を誘う不思議な力を秘めています。
大人になると、何回も、何十回も、この先、永遠に終わらないのではと錯覚してしまうような、暗いトンネルに迷い込んでしまうことがあるかもしれません。
それでも、今日、あなたが生きているのは、そのたびに間違いなくトンネルを抜けてきたからでしょう。
暗闇の怖さを知っているからこそ、眩しく輝く夏の海のような健やかさを、ありがたいと思えるのではないでしょうか。
そして野の花は、無数の大きな足に踏まれても、意地悪な強風に煽(あお)られても、どしゃぶりの冷たい雨に打たれても、いじけて自ら枯れることはありません。
その命がつきるまで、子孫を残し、精一杯、咲き切るだけです。
私たちは、そんな小さな花に様々な思いを託します。
ある方は、すっと天に向かい咲き誇る姿に明日への希望を託し、ある方は、花言葉を探し、愛する人に捧げ、ある方は子どもたちへ冠を編み、その頭に飾ることでしょう。
止まない雨はありません。
雨のあとには青空に美しい虹がかかります。
そんな素朴な風景を、色紙をちぎり、貼り絵にすることで点描画のように表現した画家がいました。
それが、ドラマ、裸の大将の主人公であり、実在したモデル、山下清です。
山下清は知的障害があり、施設での窮屈な暮らしを嫌い、18歳から32歳まで、何度も飛び出しては放浪を続けていました。
その旅路の思い出を、後に美しい絵画にして私たちに残してくれました。
その作品は、山下清の瑞々しい感性、少年のように朴訥として温かな彼の心をそのまま写し取ったかのようです。
彼もいわば、「野に咲く花」の一輪だったのかもしれません。
決して牡丹やバラのように、華やかで目立つ存在では無いけれど、そのひたむきさや純粋さで、出逢う人を自然と笑顔にしてなごませていたのかもしれません。
私たちはつい、自分を特別な人間だ、華やかな人生を歩むはずの人間だと過大評価してしまいがちです。
しかし、平凡に、穏やかに人生を過ごすことは、案外むずかしいものです。
そして、平凡で目立たない、つまらないものと思い込んでいたものは、自分の主観に偏った、いびつなものの見方の可能性もあります。
言い換えるなら、地味で素朴な野の花も、それぞれがひとつのドラマの立派な主人公なのです。
かつて、哲学者の小林秀雄は花に対して、こんな名言を残しています。
「美しい花がある。花の美しさというものは無い」と。
素朴に、ありのままに生きている姿そのものが、既に美しい。
それは細部の造形に宿るものでは無いのです。
それは、そのまま人の心の美しさにも例えられるかもしれません。
人の心の美しさは、植物のエッセンスのようにそれだけを抽出することはできません。
聖も濁も併せ持ち、葛藤し、あがき、それでも生きる姿は全てまとめて美しい。
その姿はやはり、気まぐれな天気に翻弄される野の花によく似ています。
例え、成りは小さくてもしっかりと地中に根を伸ばし、たとえ雨嵐でも、自然の恵みとして受け入れる。
そんな人間に、私たちもなりたいものです。
まとめ
ダ・カーポ「野に咲く花のように」の歌詞の意味を考察しました。
人生の旅路において、時には大変なこともありますが、野に咲く花のようにけなげな心で、人を爽やかに、和やかにして生きていけたらすばらしいという内容でした。
この曲は、曲の美しさもさることながら、歌詞の親しみやすくも聴き手の心を揺さぶるような問いかけが、多くの人々の心を掴んだのでしょう。
あなたは、身近な誰かを心爽やかにできたでしょうか。
あなたは、意固地な心を捨てて、風に吹かれるようにしなやかな心持ちでいられたでしょうか。
筆者は、この問いかけに、残念ながら「はい」と答えることができませんが、シンプルながら深い歌詞の内容に、改めて大きな気づきが得られました。
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