この記事は、松崎しげる「愛のメモリー」の歌詞の意味を考察します。
1977年に発売されたこの曲は、愛する人と暮らす人生をたたえるバラードで、エネルギッシュで圧倒的な歌唱により、人気となりました。
それでは、松崎しげる「愛のメモリー」の歌詞の意味を読み解きます。
松崎しげる「愛のメモリー」はどんな曲
【愛のメモリー】
アーティスト:松崎しげる
作詞: たかたかし
作曲:馬飼野康二
リリース: 1977年8月10日(ビクターレコード)
★チャート最高順位
週間2位、1977年度年間18位(オリコン)
この曲は、1976年にスペインのマジョルカで行われた「マジョルカ音楽祭」に松崎しげるが参加するため、元となる曲「愛の微笑」が作られました。
その後、お菓子(チョコレート)のTVコマーシャルソングに使われて注目を集め、 1977年8月に松崎しげるの14枚目のシングル「愛のメモリー」として発売されました。
発売後、すぐに人気を集め、松崎の代表曲のひとつとなりました。
1977年度のオリコン・シングルチャートでは年間ランキング18位、売上枚数は48.9万枚を記録しました。
松崎しげる「愛のメモリー」の歌詞の意味を考察
この曲の歌詞は、主人公の男性が愛する女性(あなた)と暮らした日々を振り返り、喜びをたたえる内容になっています。
相手の女性の、柔らかな朝日に照らされたその顔は、まさに天使のような神々しい印象を受けます。
張りのある瑞々しい素肌は、真珠色に輝き、まるで海から生まれたヴィーナスのようです。
流水のように流れる黒髪が光を浴びて、明るい鳶色に輝きました。
彼女を見守る彼の心は満ち足りた幸せでいっぱいです。
『あなたさえいれば何もいらない。
家族も将来の夢さえも、今なら何もかも捨ててしまえそうだ。
「愛してる」なんて言葉じゃ足りない。
誓いの言葉なんて薄っぺらだ。
この胸の鼓動をあなたにそのまま伝えることができたなら。
僕の愛がどれだけ激しいか、君は分かってくれるだろうか?』
やがて幾度もの夜を迎え、新たな季節が巡ってきました。
彼が彼女の耳元に、そっと「おはよう、僕の可愛い人」と囁くと、彼女は眠い目をこすり、無垢な瞳で彼を見つめ返します。
彼女の肌から立ち上る、ふわりと優しい、甘い香りを彼は愛していました。
ちょうど今の季節、春の始まりを告げる水仙の香りによく似ています。
『君に出逢うまで、僕はずっと独りよがりに生きてきたんだ。
僕が愛だと思っていたものは、ただの自己満足だった。
いつも見返りを求めていたのさ。
君と出会ってから、僕の心のなかは、いつも泉のようにこんこんと愛情が湧き出てるんだ。
僕は、今までの僕よりも人に優しくなった気がするよ。
だって皆に分け与えるぐらいに、愛情で溢れているんだもの。
ほら、言葉にしなくたってわかるだろう?
この胸の中をいっぱいに満たす温かいものは、君のなかにも必ずあるんだ。
お金も名誉も要らない、愛が唯一の尊いものだと教えてくれたのは、君なんだよ。』
そして、さらに長い、長い月日が経ちました。
彼の顔には深い皺が刻まれ、彼女の美しい黒髪は、銀色のものが多く混じるようになりました。
これまで、決して順風満帆な日々だったわけではありません。
幾つかの悲しい出来事もありました。
幾つかの胸を締め付けるような失望もありました。
それでも、二人で小さな小舟を漕ぐように、助け合って生きてきました。
時には、小さないさかいもありました。
顔も見たくない、口もききたくない、と思う夜もありました。
それでも、朝がくれば、二人は身を寄せ合って目を覚ますのです。
そして、何事もなかったかのように二人は微笑みあい、互いの頬に触れるのです。
人の人生なんて、過ぎてしまえばほんの一瞬です。
子供時代はこの時間が永遠に続くかのように思えたのに、ひとたび過ぎてしまえば、ため息をつく間に年老いてしまう。
彼は、この頃、昔話をすることが増えました。
彼女は台所で、少し丸くなった背中を向けながら彼の思い出話を聞いています。
『なあ、覚えてるかい?
僕らが初めて出逢ったときのこと。
君は背中まで艶々した黒髪をおろして、とても可愛らしかったね。
君と初めて口づけを交わしたとき、君にも僕の鼓動が伝わればいいと思ったよ。
なあ、時間は残酷だね。
君と出逢った日は、ありありと思い出せるのに、魔法にかけられて一気に歳を取ってしまったみたいだ。
でも、これだけは約束するよ。
たとえ、僕たちが天に召される時が来ても、いつまでも僕らは一緒だ。
生まれ変わっても、僕の妻になってくれ。』
彼女は、そっと彼に気づかれないように、こみあげてくる涙を拭いました。
そして、目尻に小皺が刻まれた、陽だまりのような笑顔で振り返ると、こう言いました。
『まさか、あなたにもう一度プロポーズされるなんて夢にもおもわなかったわ』
小さな家の、小さな庭には、今も、二人が初めての朝を迎えたときのように、澄み渡った空とそよ風、そして優しい太陽の光が、ふりそそいでいます。
まとめ
松崎しげる「愛のメモリー」の歌詞の意味を考察しました。
主人公の男性が愛する女性と暮らす日々を、喜びのあふれる、美しい人生と称える内容でした。
松崎しげるの熱唱を聴くと、愛情を大切にして、人生を前向きに肯定的に生きていくことの大切が伝わってきます。
聴く人を明るく、元気な気持ちにさせてくれる昭和の名曲のひとつだと思います。
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