ペドロ&カプリシャス「ジョニィへの伝言」の歌詞の意味を考察します。
「ジョニィへの伝言」は1973年に発売され、男女の別れを歌ったものですが、登場人物や歌詞の雰囲気も欧米系の感じのため、当時は「無国籍ソング」と呼ばれました。
それでは、ペドロ&カプリシャス「ジョニィへの伝言」の歌詞の意味を読み解いていきましょう。
ペドロ&カプリシャス「ジョニィへの伝言」はどんな曲?
【ジョニィへの伝言】
アーティスト:ペドロ&カプリシャス
作詞:阿久悠
作曲・編曲:都倉俊一
リリース:1973年3月10日 ( 芸音レコード)
「ジョニィへの伝言」は1973年3月にリリースされたバンドグループ『ペドロ&カプリシャス』の4枚目のシングルです。
「ジョニィへの伝言」はデビュー曲「別れの朝」や「五番街のマリーへ」などと並んでペドロ&カプリシャスの代表曲の一つです。
「ジョニィへの伝言」は、オリオンの週間チャート順位は最高24位でしたが、長期間にわたり売れ続けシングル売上枚数は約25万枚のヒットとなりました。
そして1974年大晦日の「第25回NHK紅白歌合戦」には同曲で初出場を果たした。
この曲のボーカルはペドロ&カプリシャスで2代目となる高橋まり(現在は髙橋真梨子)が担当しています。
ペドロ&カプリシャス「ジョニィへの伝言」の歌詞の意味を考察
「ジョニィへの伝言」という曲は、男女の別れを歌っています。
しかし、この曲は『別れ=涙、未練』という昭和歌謡曲の定石とも言える方程式が当てはまりません。
そこに泣き崩れる女性はおらず、ただただ前を向いて歩いていこうとする強い意思の女性を感じます。
このことから、主人公の女性は自立した女性であることがうかがえます。おそらく年齢は、20代後半以上ではないでしょうか。
そして、純日本人ではなく外国人の女性、もしくは混血の女性をイメージします。
実際にこの曲が流行った当時に、その欧米的な歌詞の雰囲気から「無国籍ソング」などとも呼ばれていました。
舞台はアメリカ。
曲の中盤で「気がつけばさびしげな町」とあるので、ニューヨークやロサンゼルスなどといった煌びやかな都市ではなく、郊外の田舎町であることが推察されます。
その田舎町の小さなバーカウンターに女性はいます。
田舎町では、それほどたくさん社交場があるわけではなく、昔ながらの温かい雰囲気のこのバーは地元住民のたまり場です。
マスターはいつも自分からは客に話しかけず、穏やかな笑顔で聞き手に徹しています。
女性はこのバーでマスターに色んな話を聞いてもらいます。
色んなことを話すうち、女性にとってマスターは、良い友人のような存在になっていきました。
そしてジョニィもまた、このバーの常連客でした。
偶然お互いにカウンターでひとり飲んでいたことがきっかけで、マスターを介してコミュニケーションをとるようになりました。
二人はよく人生の夢や目標について話しました。
女性は自分がかつて踊り子をしていたことを語ります。
ダンサーとして大きな舞台で踊ることを夢見ていましたが、何かしらの挫折があり、生活のために小さなステージで踊っていたのです。心の奥ではまだ夢を諦めてはいません。
ジョニィには自分の夢を諦めた過去があります。
二人はいつしかお互いに惹かれ合うようになります。
一度、女性が酔った勢いで『もう一度夢を追ってみない?二人でなら叶うかもよ?』と言ったことがありました。
その時ジョニィが一瞬困惑したような表情を見せたことで、彼女はこれ以上進んではならないことを悟ります。
週末になれば大抵二人ともバーに来ていました。
しかしその日、ジョニィは姿を見せませんでした。
グラスが空になると、女性は席を立ちます。
『そろそろ行くわ、マスター』
マスターは、ジョニィを待たなくていいのか尋ねます。
『うまく伝えておいて』
女性はそう言って、店を出ていきます。
女性は次のバスに乗り、この町を離れます。
引っ越し先はまだ決まってはいません。
アメリカでは日本と比べ、引っ越しが約3倍も多いそうです。
日本人ほど『マイホーム』や『定住』に価値を置かないためだそうです。
そして日本で引っ越しと言えば、単身でも2トントラックいっぱいの荷物というイメージですが、アメリカでは家財などをなるべく売ったり譲ったりして、身軽に移動することが多いようです。
それこそ『ボストンバック一つで』というイメージです。
この女性もバスで引っ越していけるほど身軽です。
一人でも大丈夫。身一つでなんだって出来る。
物理的な荷物の量だけでなく、気持ちの面でも軽やかです。
ジョニィとこの女性は、お互いに想いはありつつも、プラトニックであったはずです。
ジョニィはこの町に留まり、女性はこの町を出ていくことから、ジョニィには家庭があったかもしれません。
そして彼がかつての夢を諦めたのは、家庭を持ったからかもしれません。
女性が最後のメッセージを直接留守電に吹き込むでもなく、手紙にしたためるでもなく、マスターに伝言を託したことでも、そうしたジョニィ側の事情が推察できます。
ジョニィが自分を選んでくれることを望まなかったわけではありません。
でもそれは、ジョニィの家庭を壊すことです。
一方のジョニィも、この女性に心が揺れていました。
でも家庭を守ることを選びます。
女性は、マスターに「友だちならうまく伝えて」と言いました。
ジョニィにどんなふうに伝わって欲しいと思っているのでしょうか?
何日か経ち、週末の夜、久しぶりにジョニィがバーにやってきます。
『少し仕事が忙しくてね』と、いつものジャックダニエルを飲み始めます。
女性が来ないことは、もうなんとなく分かっています。
グラスが空になり、マスターが新しいグラスを置きながら言います。
『2時間くらい待ってたよ。』
ジョニィは頷き、マスターにも1杯勧めます。
グラスを傾けながら、マスターは続けます。
まとめ
ペドロ&カプリシャス「ジョニィへの伝言」の歌詞の意味を考察しました。
男女の別れの歌ですが、ウエットな感じはなく、女性も自立していることもあり、サバサバした別れと、そして新たな始まりを感じさせてくれます。
今、この曲を聞くと今から約50年前の曲とは思えないほどの素晴らしさに改めて気がつきます。
また、高橋まり(現在は髙橋真梨子)歌唱力の凄さにも驚かせられます。
高橋まりは1978年に「ペドロ&カプリシャス」を脱退した後、「髙橋真梨子」としてソロ歌手として独立しました。
その後も「桃色吐息」、「はがゆい唇」、「遙かな人へ」、「ごめんね・・・」などの多くのヒット曲を生み、実力派の女性歌手として絶大な人気を博しています。
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