この記事は、南沙織「17才」の歌詞の意味を考察します。
沖縄が日本に返還される前年の1971年、その沖縄から一人の女性アイドル歌手がデビューしました。それは、南沙織。
「17才」は、そんな彼女のデビューシングルです。
それでは、南沙織「17才」の歌詞の意味を読み解いていきましょう。
南沙織「17才」はどんな曲
【17才】
アーティスト:南沙織
作詞:有馬三恵子
作曲:筒美京平
リリース: 1971年6月1日 (CBS・ソニー)
★チャート最高順位
週間2位、1971年度年間11位(オリコン)
1971年6月に発売された南沙織のデビューシングル「17才」。
作曲したのは、数々の名曲を生み出したことで有名な筒美京平。
この曲は、その後森高千里や男性ロックバンド銀杏BOYZなど様々な歌手によってカバーされました。
そして、今でも多くの人に愛される一曲です。
南沙織「17才」の歌詞の意味を考察
歌の主人公の少女の年齢は、まさに「17才」。
恋人の男性と海岸の浜辺で戯れ、愛し愛される喜びに浸って、その中で命を実感しています。
また、そんな幸せな現在という時を永遠に味わっていたいと密かに望んでいるようです。
その様子を表す歌詞の言葉には、若さや10代の満ち溢れる生命力が感じられます。
その一方で、彼の愛情を試してみたいという欲求も起こっているので、“彼は本当に私を心から愛しているのかしら”と一抹の不安も抱えていることが伺えます。
無理もありません・・。
大人の女性だって、恋愛中はそんな不安を心のどこかで常に抱えているものです。
そういう点でいえば、彼女は「17才」でありながら、既に大人の女性の仲間入りを果たしていると言ってもいいでしょう。
それにしても、なんとまあキラキラした、絵に描いたようなリア充っぷりでしょう。
現代で言えば、“映え”と言ったところでしょうか。
晴れ渡った空に、開放的な海辺。
陽光に満ち溢れたその世界で愛し愛される幸せたっぷりの一組の若いカップル。
なんと羨ましいことでしょう。
しかし、この歌詞全体を見ていると、ふと疑問が湧きます。
現代の同じ年齢の女子だったら、高校卒業後の進路に悩んだり、大学や短大受験を控えて必死になって勉強して、ゆったりと恋愛を楽しむどころではありません。
また、高校生活最後の大会に向けて部活動に熱心になる女子もいるでしょう。
一方では、一部の女子の中には強い孤独感を抱えて、愛してもいない男性と一夜限りの関係でその心の隙間を埋めようと夜の街をさまよい歩いたりする人もいます。
中にはお金目当てで、自分の体を商品にする女子だっているのかもしれません。
つまり、現代の「17才」のイメージからはこの歌の歌詞はやや距離が感じられるのです。
この歌が発売された頃は、どうだったのかと調べてみると、1970年代の女子の大学・短大進学率は今よりもずっと低かったのでした。
高校卒業後は社会に働きに出るか、家で花嫁修業に精を出すかという人も多くいました。
そして、この歌は、そんな当時の同世代の女性たちの多くに共感を得たと言われています。
だとしても、実際にこの歌詞のような恋愛を、この年齢で体験した女性は当時でも多くはなかったと思われます。
ということは、つまりこの歌は、当時の10代の少女たちの憧れを歌ったものではないでしょうか。
確かに愛する男性に、自分も愛されて、その幸せの中で命を実感出来たらどんなに素晴らしいでしょう。
しかし、生を実感する方法は他に幾らでもあります。
それこそ、自分の胸に手を当てて、その皮膚の下にある心臓の鼓動を感じ取るだけだって命を実感出来ます。
ただ、10代の少女はそれでは物足りないのでしょう。
何故なら、恋愛に興味を持つのは自然で当たり前のことですから・・。
ですから、両想いの恋愛こそが命の究極の命の実感方法に思えてならないのでしょう。
しかし、現代では、自傷行為をしてその痛みでもって初めて生や自己の存在を実感するなんていう少女もいるくらいです。
それから考えれば両想いの恋愛に憧れるのは健康的な思考と言えるのかもしれません。
誰にとっても「17才」は一度きりです。
そういう意味では、現在というその二度と戻らぬ時間の大切さに気付いて、大切にしてほしいですね。
それが結果として、命を実感し、その尊さや喜びを知ることにも繋がるのですから・・。
まとめ
南沙織「17才」の歌詞の意味を考察しました。
「17才」は、大人の一歩手前で、楽しいこともありますが、何かと心が揺れて悩み事も多い年頃ですね。
筆者も「17才」の頃を思い出すと楽しいときは良いのですが、悩みや困りごとがあると心が過剰に反応してしまい、その扱いに苦労した記憶があります。
年齢を重ねると若干ながら心の操縦にも慣れてきますが、それでもまだ初心者の域を出られません。
きっと一生を通じての学ぶべきテーマなのでしょう・・。
現代の「17才」の方々も楽しいことも辛いこともあるでしょうが、夢と希望を持って人生を歩んでいっていただきたいものです。
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