この記事は、因幡晃「わかって下さい」の歌詞の意味を考察します。
1976年2月に発売されたこの曲は、哀愁のあるメロディに乗せて、切ない女心を男性の声で歌い上げ、多くの人の心を掴みました。
そんな、因幡晃「わかって下さい」の歌詞の意味を読み解いていきます。
因幡晃「わかって下さい」はどんな曲
【わかって下さい】
アーティスト:因幡晃
作詞・ 作曲:因幡晃
リリース: 1976年2月5日(ディスコメイトレコード)
★チャート最高順位
週間3位、1976年度年間9位(オリコン)
因幡晃は、1975年開催の『第10回ヤマハポピュラーソングコンテスト』に「わかって下さい」で最優秀曲賞を受賞。
また、同年開催の『第6回世界歌謡祭』にもこの曲で入賞。
翌年1976年2月に「わかって下さい」でプロデビューを果たしました。
発売後、人気となり、1976年度オリコン・シングルチャートでは年間ランキング3位、売上枚数は61.4万枚を記録しました。
因幡晃「わかって下さい」の歌詞の意味を考察
この曲に登場する主人公の女性は、若者たちが恋に浮かれる暑く眩しい季節に彼と別れることになりました。
女性は、強い悲しみを胸に秘めつつも、気丈に振る舞い、その後の日々を過ごそうとします。
しかし、ふと日常の中で別れた恋人の姿を見た気がして立ち止まります。
けれども、そこに彼はいません。
そんなことが何度かあって、彼女はこう思います。
“このままではいけない。”
折しも空気は涼しくなり始め、あんなに強かった日差しも少しずつ柔らかさを帯び、どこか物憂げな雰囲気を漂わせる季節になってきました。
このままでは来る季節特有のセンチメンタルな空気に飲まれてどうにかなってしまいそうです。
そこで彼女は、ある行動を起こします。
それは、別れた男性に対して文をしたためること。
彼女は、ペンを紙に走らせ、想いのたけを吐き出します。
「わかって下さい」・・。
思い浮かぶのは楽しく幸せだった日々の記憶ばかり。
彼にもらったアクセサリーや、彼の部屋に置いておいた一組の食器など、アイテムの数々にも思いを馳せます・・。
そして、気付くと彼女は泣いていました。
ぽろぽろと目から溢れる雫が紙を濡らします。
その様を見ながら、彼女はこの溢れんばかりの未練と愛情を、せめて彼に知って欲しいと願うのです。
こうして歌詞の全体像をなぞると、この歌は、終わった恋の悲しみを嘆く女性の思いを歌った失恋ソングだということが分かります。
歌の中で彼女が取った行動は、一見、非常に未練がましく、湿っぽいもののように感じられます。
しかし、彼女はおそらく、この思いをしたためたレターを実際に彼へ送ることはしなかったでしょう。
そんなことをしても、時を巻き戻せないことを彼女はちゃんと知っているのですから。
それに、実際そんな文をもらったところで、彼だって困ってしまうでしょう。
それでも、彼女は自分の思いを何かに向かって吐き出さずにはいられませんでした。
それ程までに深く傷つき、苦しんでいたのですから。
こうして彼女は、出すことのない文を泣きながらつづり続けます。
実は、彼女の取ったこの行動は、心のバランスを取るのに適した方法です。
人間の感情の厄介な理由は、目には見えないから・・。
そんな感情で胸が満たされて苦しいならば、文章として見える形にしてしまいましょう。
そうして初めて、自分がどれ程辛かったのか自分で理解出来ます。
更に、そうすることで人間の脳は、この感情に関してはこれで一件落着と区切りをつけてしまうように出来ているらしいのです。
また、彼女は出さないレターをつづることをきっかけとして、泣き始めます。
泣くという行為が、ストレス発散に良いことは心理学で証明されています。
彼女も、文をしたためながら思い切り泣いた後、ふと気付いたはずです。
この行動を起こす前と比べて、少しだけ心が軽くなっていることを。
もちろん、それですぐに失恋の傷が癒える訳ではありません。
日常を過ごすうちに、また同じような悲しみや孤独感で心がいっぱいになってしまうでしょう。
そうしたらまた、出さないラブレターをつづって思い切り泣けばいいのです。
この作業を繰り返していくうちに、彼女は自分自身の力で立ち直っていくことでしょう。
彼と付き合っていた時に、彼に注いだ愛情を、今の彼女は自分自身に向けるべきです。
そうして、傷を癒し、心を休めることに集中して欲しいと思います。
そうして、また笑えるようになったら、彼女は彼と付き合っていた頃より更に魅力溢れる女性へと成長しているはずです。
何故なら、彼女の負った心の傷跡が、今は彼女を照らす光の源となっているから。
もしかすると、その温かな優しい光に惹かれた誰かが新たに彼女に恋をするかもしれません。
そして、彼女は以前以上の幸せな愛に満ちた日々を送ることが出来ることでしょう。
まとめ
因幡晃「わかって下さい」の歌詞の意味を考察しました。
この曲に登場する主人公の女性は、終わった恋の気持ちの整理が出来なくて、悶々としてしまいます。
そして、彼への思いを吐き出すために泣きながら出すあてのない文をつづります。
「わかって下さい」との思いを胸に彼女は文をつづりながら泣くだけ泣きます。
その涙の先には、癒しと希望の光がゆっくりと近づいているようです・・。
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