この記事は、小坂恭子「想い出まくら」の歌詞の意味を考察します。
この曲は1975年に発売され、失恋した女性の恋の思い出を切々と歌い、多くの人々の共感を得て大ヒットしました。
それでは、小坂恭子「想い出まくら」の歌詞の意味を読み解いていきましょう。
小坂恭子「想い出まくら」はどんな曲
【想い出まくら】
アーティスト:小坂恭子
作詞・作曲:小坂恭子
リリース:1975年5月25日(ポニーキャニオン)
★チャート最高順位
1975年度年間3位(オリコン)
「想い出まくら」は、1975年5月に発売された小坂恭子がデビュー・シングルです。
オリコン・シングルチャートでは1975年度年間ランキング3位、売上枚数は79.4万枚を記録しました。
「想い出まくら」は小坂恭子の代表曲となっています。
小坂恭子「想い出まくら」の歌詞の意味を考察
まず一番では、この歌の主人公の女性が「煙草を」吸っています。
しかし、彼女は常日頃から喫煙している訳ではないようです。
この時、彼女が「煙草を」吸いたくなったのは「あの人」(または「あなた」)を思い出したから。
実は、彼女にはかつて付き合っていた男性がいました。
その男性が喫煙者だったので、歌詞にあるように「あの人の 真似をして」「煙草を」吸っていたのです。
わざわざ「あの人」がしていたような「けむたそうな 顔をして」まで。
以前、彼女は交際していた時も、やはり彼の「真似をして」「いたずらに」「煙草を」吸ったことがありました。
その時、彼は彼女から「煙草を」「取り上げ」ました。
しかし、今夜は誰も彼女を止めてくれません。
こうして女性は、一人寂しく彼との恋の記憶をたどり始めます。
一つの記憶を思い出すと、また別の記憶が次々と思い出されます。
それは、まるで記憶の連鎖反応。
そんな中で彼女は「あの人の 小さな癖」なんかも思い出します。
二番では、「煙草」だけでは足りなかった彼女が「お酒」に手を出します。
そして、「あの人が 好きだった 歌を」ほろ酔い気分で口ずみ、またしても甘い恋の記憶に浸るのです。
歌詞全体を見た印象では、女性が「あの人」と別れてから、幾分かの時間の経過を感じます。
具体的に言えば、数カ月から長くて二、三年というところでしょうか。
それでも、彼女はまだ彼を忘れられず、未練があるようです。
だから、「あの人」の「うでに抱かれて」、「髪」を「なでられ」つつ、眠りにつきたいと思ってしまうのでしょう。
しかし、現実にはもう「あの人」はいません。だから、今夜も寂しく独り寝状態です。
そのため、彼女はせめて、彼との恋の「想い出」を「まくら」のようにして眠ろうとします。
そうすれば、もしかすると夢の中だけでも「あの人」に会えるかもしれないから。
それに、「煙草」や「お酒」に頼っても、寂しい気持ちが消えない時の最終的な対処法は、寝ることしかありません。
彼女はそれを経験的に知っているのでしょう。
だから、最後に「眠るのが いいでしょう」と歌っているのです。
ところで、この歌には「こんな日は」という言葉が頻繁に出てきます。
では、「こんな日」とは具体的にどんな日のことを言うのでしょうか。
主人公の女性は、失恋直後は、その心の痛みに耐えつつも、がむしゃらに仕事をこなすなどして、何とか立ち直ろうと頑張ったはずです。
そうやって過ごすうちに心の痛みも少しずつ和らいでいったことでしょう。
しかし、常に忙しい訳ではないし、たとえ忙しくしていたとしても、当然体は疲れてしまいます。
そんな時、ふと「あの人」のことを思い出してしまったのでしょう。
また、仕事などで上手くいかず落ち込んだり、或いは街を歩いていて仲の良い恋人たちの様子なんかが目に入ってしまう。
するとやはり心が沈んで、少し前の恋の記憶を思い返してしまったのかもしれません。
つまり、「こんな日」というのは、そういう少し疲れたり、落ち込んだりなどした時に、ふと迷い込んでしまう日常の谷間のような日のことを指すのでしょう。
けれど、そういう日というのは、この主人公のみに限って訪れるものではありません。
大人ならほとんど誰でも経験したことがある、ありふれた現象です。
そして、ここに多くの人がこの歌に共感するポイントがあるのだと思います。
このように考えると、この「想い出まくら」は、時代を越える不変性を兼ね備えた大人の失恋ソングと言えるでしょう。
まとめ
小坂恭子「想い出まくら」の歌詞の意味を考察しました。
主人公の失恋した女性が元彼との思い出を振り返る、多くの人の共感を得る歌詞の内容でした。
さて、かつてプロを目指すアマチュアミュージシャンのために、ポピュラーソングコンテスト(略してポプコン)なるものがありました。
ヤマハ主催のこの大会でグランプリを獲得するとプロデビューが約束されます。
そして、小坂恭子はポプコンの1974年に開催された第7回本大会でグランプリを受賞し、デビューしたのでした。
そんな小坂恭子が唄う「想い出まくら」は時代を超えて愛される名曲のひとつだと思います。
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