細川たかし「北酒場」の歌詞の意味を考察!聴くと居酒屋が恋しくなる | カモシカおやじの趣味ブログ

細川たかし「北酒場」の歌詞の意味を考察!居酒屋が恋しくなる

昭和歌謡
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この記事は、 細川たかし「北酒場」の歌詞の意味を考察します。

1982年に発売されたこの曲は、酒場を舞台にした恋の始まりをテーマにしています。

ノリが良く明るい気持ちにさせてくれる名曲です。

それでは、細川たかし「北酒場」の歌詞の意味を読み解きましょう。

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細川たかし「北酒場」はどんな曲

【北酒場】

アーティスト:細川たかし

作詞: なかにし礼

作曲 :中村泰士

リリース: 1982年3月21日(日本コロムビア)

★チャート最高順位
週間3位、1982年度年間5位(オリコン)

「北酒場」は1982年3月に発売された演歌歌手・細川たかしの18枚目のシングルです。

北海道出身の細川に相応しく、北国の人々の温もりを感じさせる、親しみやすい曲で大ヒット。

1982年度のオリコン・シングルチャートでは年間ランキング5位、売上枚数は64.7万枚を記録しました。

 

細川たかし「北酒場」の歌詞の意味を考察

北国の女性は、色が白く儚げな雰囲気を持つ方が多いせいか、おっとりとした性格を想像される方が多いと思われます。

実は北海道の女性は、気性が強く、自由奔放で男勝りです。

その分、さっぱりとして裏表が無いのが魅力です。

 

北海道の男性は、そんな女性をそっと支えるような、心優しい聞き上手が好まれます。

少々、頼り無かろうが、涙もろかろうが、それもご愛敬です。

 

北海道の女性は、気になる男性のアプローチを手ぐすね引いて待つような真似も、もったいつけて焦らすこともしません。

まばゆい光を放つ黒目がちな瞳、きりりとした風貌は、彼女たちの真っすぐな気性と、純粋な愛らしさを表現しているかのようです。

 

そんな女性たちが生きるススキノは、今夜も大賑わい。

その片隅に、この歌の舞台になる店があります。

 

こじんまりとした古い居酒屋ですが、店内は明るく清潔で、ホッケの塩焼きが自慢の、常連で賑わう人気店です。

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そして、今、この瞬間に新しい物語が始まろうとしています。

背中まである艶やかな黒髪をさっと耳にかけると、その人は、煙草に火をつけてくれました。

 

「慣れた手つきだな」

彼がそう言うと・・。

「あたしね、好きな男にしかそんなことしないの。普段のあたしは、男に火をつけてもらうほう」

そういって、屈託なく笑いました。

周りの視線も気にせずに、肩をぴったりと寄せてきます。

 

「おいおい。参ったなあ」

そうぼやきながらも、彼はまんざらでも無さそうです。

 

こんな骨の芯まで凍える夜に、人肌が恋しくなるのは皆いっしょです。

女の顔を覗き込めば、伏せたまつ毛は濃く長く、鼻梁の太い顔立ちをしています。

 

ー 俺、故郷に帰ってきたんだなぁ…。

 

女の顔に郷愁を覚えるなんて滑稽な話ですが、長らく東京の、垢抜けて、あっさりした女性を見慣れた目には、新鮮に思えました。

 

 

その途端、女は、ぱっちりと目を開けると、体を引き剥がしました。

「あたしも焼酎、飲みたい。一口ちょうだい」

「はい、はい。我儘(わがまま)なお姉さんだ」

 

その時、ふと、ウイスキーのラベルに目が留まりました。

ラベルに描かれた、恰幅のいい髭の紳士は、ススキノ交差点のトレードマークです。

 

「やっぱり帰ってきたんだなあ、俺…」

思わず涙ぐんで、しみじみ呟くと、女が茶々を入れます。

 

「思い出話なら、聞いてあげない」

「おあいにく。べらべら喋って気を引くような真似は嫌いでね」

 

女は頬をぷうっとふくらませましたが、すぐに笑顔に戻り、ウイスキーを注いでくれました。

 

「長旅、お疲れ様」

「気が利くところもあるじゃないか」

 

「あたしはね、ほんとに惚れた人には尽くすんだ。でも、あんたのためにするんじゃないよ。

あたしが尽くしたいから、勝手にやってるだけ!」

だいぶ酔いがまわってきたのか、頬は林檎のように真っ赤です。

きっと、まだ何も知らない娘の頃も、このように頬を寒さで真っ赤にしていたのでしょう。

 

ー 俺も随分、擦れちまったな…。

 

頬を寒さで真っ赤にしていたのは、彼女だけではありません。

 

顎までマフラーをぐるぐる巻きにして、霜焼けだらけの手をコートのポケットに突っ込み、雪を踏みしめながら停車場に急いだあの頃。

あれから長い月日が経ちました。

運命の女だと信じた年上の人に、あっけなく捨てられた苦い恋。

若さゆえの身勝手な理由から、すれ違い、別々の道を歩むことを決めた人。

どれも思い出すには、ちくりと胸が痛む恋ですが、彼女たちと過ごした日々は、彼を大人の男にしてくれました。

 

店の有線からは、あの頃、隙間風が吹き込むアパートで、体を縮こめて聴いていた、流行りの曲が流れています。

思い出すと、また、つんと、鼻の奥が痛くなりました。

 

すると、また。

「ねえ、あんた、モテるでしょ」

 

「何だい、藪から棒に。人がせっかく、感傷に浸ってたっていうのにさ…」

「今の歌、口ずさんでたの自分で気づいていなかったのね。

この歌が好きな男は、大概、口説き上手で女好きって相場が決まってンのよ」

 

彼女はそういって、そっと男の手に、自分の手を重ねると、細い指をからめました。

 

「お前、こういうことするってことは、わかってるんだよな」

「うん」

吊り目がちな瞳が、うっすらと濡れています。

 

「あたし、もう飲めないや」

「出るか」

「うん」

暖簾をくぐる男の手を、子供のようにしっかりと握って、女は後をついてきました。

今夜も凍(しば)れるなぁ…。

 

「あたしは、あったかいよ。とっても、あったかいよ」

男がその声に驚いて横を向くと、女は、ふふっと笑って、男の肩に頬をうずめました。

「可愛い奴だ…」

どうやら、北の酒場で恋に落ちたのは、彼女だけではないようです。

 

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まとめ

細川たかし「北酒場」の歌詞の意味を考察しました。

北国の酒場で出会い惹かれ合うことになる男女の物語。

歌詞をもとに居酒屋での会話や出来事を想像して読み解きましたが、素敵な恋の始まりですね。

 

この曲のジャンルは「演歌」なのでしょうが、聴くとメロディーや歌詞、歌唱もポップスのように軽やかな感じで、その点も魅力です。

昭和世代の筆者にとって、この曲は特にお気に入りのひとつで、聴くと居酒屋が恋しくなります…。

 

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