竹内まりや「シングル・アゲイン」の歌詞の意味を考察!裏切りへの執着を手放す | カモシカおやじの趣味ブログ

竹内まりや「シングル・アゲイン」の歌詞の意味を考察!裏切りへの執着を手放す

昭和歌謡
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この記事は、竹内まりや「シングル・アゲイン」の歌詞の意味を考察します。

1989年に発売のこの曲は、TVドラマの主題歌で話題となり、ヒットしました。

今でも人気の彼女の代表曲のひとつです。

それでは、竹内まりや「シングル・アゲイン」の歌詞の意味を読み解きましょう。

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竹内まりや「シングル・アゲイン」とはどんな曲

【シングル・アゲイン】

アーティスト:竹内まりや

作詞・作曲:竹内まりや

プロデュース:山下達郎

リリース: 1989年9月12日(MOON RECORDS)

★チャート最高順位
週間2位、1989年度年間22位(オリコン)

竹内まりやの「シングル・アゲイン」は、1989年9月に彼女の18枚目のシングルとして発売されました。作詞・作曲は彼女自身が手がけました。

同年放映のTVドラマ「火曜サスペンス劇場」の主題歌になり、長期間にわたりヒット。

オリコンの1989年度年間シングル・ランキングでは22位、売上枚数は30.4万枚を記録しました。

 

竹内まりや「シングル・アゲイン」の歌詞の意味を考察

「シングル・アゲイン」は、サスペンスドラマのテーマ曲にふさわしく、男女の愛憎劇の目をそむけたくなる部分にも踏み込んだ作品です。

しかし、生々しい女心から灰汁を抜き、底に残った毒すらも軽やかに表現するのが、竹内まりやの真骨頂です。

 

舞台はステンドグラスに西日が差し込む、昼下がりの喫茶店。

主人公の女性の向かい側の席では、数年ぶりに再会した彼女の妹が、屈託のない様子で彼の近況を語っていました。

 

「うちの部署、あの二人の噂で持ちきりよ。職場結婚が決まったときも、大盛り上がりだったけど。

『恋愛は夢、結婚は現実』って本当ね。魔法が解けちゃったのよ、二人とも」

 

チーズケーキにフォークを入れながら、耳元の髪を指でかきあげ、妹のとりとめのないおしゃべりは続きます。

食事中に髪をいじる癖、やめてほしい。不愉快だわ。

 

「奥さんの浮気だってさ。おとなしそうだったけど、色気があったものね。

魔性の女、って、あんな人のこと言うのかな。

ああ、ごめん、顔は、お姉ちゃんのほうが綺麗よ。」

 

「だから何・・」

 

彼女は、神経質そうにミルクティーをかき混ぜました。

砂糖も何も入っていないのに。

イライラしたときの彼女の癖です。

 

「ううん。ただ、これだけ噂になってるから、てっきり知っているものだと思ってたわ」

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これだから嫌だったんだ。

あなたが私を誘った理由は分かってる。

「姉妹水入らずで話しましょうよ」なんて嘘。

本当は、彼との経緯を知りたいだけ。

 

 

彼女の妹は、彼女の元、恋人と、その妻と、同じ職場に勤めています。

まだ学生気分が抜けない妹は、仕事そっちのけで、身近なスキャンダルに興味津々です。

 

 

「何も彼から聞いてはいないの?」

 

 

よくそんな無神経なこと聞けるわね。

多少のわがままや失礼は大目に見てもらえると思ってるの。

あなたって昔からそう。

 

声に微かな苛立ちを滲ませると、彼女は席を立ちました。

「聞いたって今更。薄情な人なの、昔からそうよ」

「初めて恋に落ちた私のことも、平気で裏切るような人だから・・。

報いが、そのままそっくり返ってきただけよ。」

 

 

そう言いかけて、彼女は唇を噛みました。

この数年間、匂いも温もりも、声色も、すっかり忘れていた。

 

あの人は、明日も明後日も、ずっと一緒にいたいと、初めてそう思えた人なんだ

言い訳にすらならない、その一言で、私と彼は他人になった。

それなのに。

何をいまさら。

 

 

彼女は、あのひとの眼差しと彼の視線が結びついた時、すでにかなわないことに気づいていたのです。

だから、決してはぐれないように、幼子の手を握るように、しっかりと繋いで、引き寄せて。

つまらない嫉妬など、微塵も感じていない、女神のような笑顔を浮かべていた、あのひとの脇を擦り抜けたのです。

 

あの人は走り去る私たちを振り返らなかった。

これで大丈夫。

あの人は追いかけてはこない。

そう思っていたのに。

 

私の手をふりほどいて、あなたは、あの人の腕の中に自ら飛び込んでいった。

「明日も明後日も、ずっと一緒にいようね」

そう約束したのは、あたしよ。

 

会計を済ませ、一足先に外に出ると、すでに空は茜色に染まっていました。

夕焼け空は、ノスタルジックな感傷を誘います。

まだ恋を知らず、愛といえば両親が無心に与えてくれるものを指すのだ、と信じて疑わなかった、少女の頃。

 

瞼を閉じると、そこには

懐かしい秋の日の景色が色鮮やかに広がっています。

両親に手を引かれて歩いた銀杏の小道。

地面を転がる、淡く薄黄色に色づいた梨の数々。

 

年端もいかない少女たちの無邪気な笑い声がどこからか聞こえてきます。

聞き覚えのある声に振り返ると、公園の遊具を擦り抜けながら、スカートの裾をひらめかせて、幼馴染達を追いかける、かつての自分の姿がありました。

 

その様子を、まだ生まれて間もない妹を抱きかかえた母親が、微笑みながら見守っています。

ああ、ここに来れば、いつでも私の愛しい人たちに会うことが出来る。

しかし、そこには、もう、彼の姿はありませんでした。

彼女は、小さく伸びをすると、胸いっぱいに澄んだ甘酸っぱい香気を吸い込みました。

 

「怒ってる?」

横から、妹が丸い目をくりっとさせて、心配そうに覗き込みました。

 

「ええ、とっても・・」

 

「ごめんね。おねえちゃんにとってはチャンス、って思ったんだ。

これでも、親切のつもりだったのよ」

 

「そういうの、余計なお世話、っていうのよ。ほんと、発想がお子様ね。

『クライ・ミー・ア・リヴァー』って歌、知ってる?

今更、許してくれ、なんて遅すぎる。あんたも川が出来るほど、泣けばいいのよ・・」

 

 

狐につままれたような顔の妹を振り返らずに、彼女は足早に歩き出しました。

 

引用したジャズスタンダードは、本来なら彼に言うべき歌詞でした。

でも、今となってはどうでも良い事です。

 

これでお終い。

 

心のなかで彼女は静かに呟きました。

彼女は、すでに気づいていたのです。

彼への愛情は、すでに消えていて、小さなプライドを守るための執着心のみになっていたことを。

手放すタイミングがつかめなかっただけ。

 

本当に人を嫌うということは、無関心なのです。

 

「あたしを傷つけた借りは、きっちり返したわよ」

 

さあ、明日には、東京に戻らなければなりません。

また慌ただしい一日が待っています。

 

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まとめ

竹内まりや「シングル・アゲイン」の歌詞の意味を考察しました。

歌詞のストーリーは、主人公の女性が交際している男性が別の女性のことを好きになり、結婚するもその後、離婚して独身になるというものです。

ストーリからはドロドロとした男女の愛憎劇が想起されますが、歌詞はそうした部分を昇華させてすっきりとした感じに仕上げられています。

 

考察に登場する 『クライ・ミー・ア・リヴァー』という曲は文中にもあるとおり、ジャズのスタンダードナンバーです。

大まかな意味は、「私はかつて恋人であるあなたから縁を切られ、気が狂わんほどの涙を流した。

今になって、あなたは寂しい、私を愛しているというけれども、あなたは泣いていればいいのよ。私はあなたのために大泣きしたのだから。」というものです。

こちらも「シングル・アゲイン」にも相通じるところのある名曲です・・。

 

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