この記事は、高田みづえ「そんなヒロシに騙されて」の歌詞の意味を考察します。
1983年に発売のこの曲は「私はピアノ」と同じくサザンオールスターズの曲をカバーして人気となりました。
それでは、高田みづえ「そんなヒロシに騙されて」の歌詞の意味を読み解いていきます。
高田みづえ「そんなヒロシに騙されて」はどんな曲
【そんなヒロシに騙されて】
アーティスト:高田みづえ
作詞・作曲: 桑田佳祐
リリース: 1983年8月21日(ユニオンレコード)
★チャート最高順位
週間6位、1983年度年間45位(オリコン)
「そんなヒロシに騙されて」は1983年8月に発売された高田みづえの21枚目のシングルです。
作詞・作曲はサザンオールスターズの桑田佳祐。
鹿児島県出身の高田みづえは、1977年、16歳でデビューしました。
そんな彼女が、1983年に発売したのが「そんなヒロシに騙されて」です。
この曲は、同年に発売されたサザンオールスターズのオリジナルアルバム『綺麗』の収録曲でした。
高田みづえ版は、それをカバーしたものです。
高田みづえ「そんなヒロシに騙されて」の歌詞の意味を考察
舞台は、湘南の海辺。
この場所が一年で一番盛り上がる暑い季節に、歌の主人公の女性は、一人の男性に声を掛けられます。
彼の名は、「ヒロシ」。
ルックスもファッションセンスも良い彼に、女性はたちまち恋をします。
そして、彼の甘い愛の囁きに、すっかりのぼせ上がり、夢中になるのです。
ディスコで彼と踊り明かしたり、海辺をデートしたりして幸せな日々を謳歌します。
しかし、しばらくすると、彼はあっさり他の女性に心を移してしまいます。
その時、女性は初めて気付くのでした。
自分は彼に、“遊ばれた”のだと・・。
だけど、そうと知っても、彼女は彼のことを心底、嫌いにはなれませんでした。
“ひょっとすると、今に私の元に帰って来てくれるかも”と、淡い期待を抱いてしまいます。
その一方で、単なる女遊びの相手にされたことに対して、時に無性に腹が立ってきて、悔しさを感じます。
それでも、やっぱり彼女は彼のことが諦めきれないのです。
そして、自分たちは運命の赤い糸で結ばれている者同士だと夢見る少女のような気持ちを抱きつつ、今日も一縷の望みを抱いて、海辺で彼のことを待ち続けるのでした。
この歌は、以上のように、恋愛関係にだらしない男性をうっかり愛してしまった女性の複雑な心模様を歌った歌だと考えられます。
彼に淡い期待を抱いたり、怒ったり、歌で描かれる彼女の感情は実に不安定です。
一方、この「ヒロシ」という男性は、相当遊び慣れていることが伺えます。
どんな言葉を言えば、女性がその気になるか、どんな風に振る舞えば、自分の本性を隠すことが出来るのか、そのテクニックを熟知しているようです。
現代だったら、ホストクラブで働けば、お店のナンバー1にだってなれるかもしれません。
実際、こういう男性を好きになってしまうと厄介です。
下手したら、色々と貢がされたり、もっとひどい目に遭ったりします。
更に、こういう軽いタイプの男性は、古今東西存在するので女性からすれば困ったものです。
しかし、見方を変えれば、こういう男性は、真剣に一人の女性を愛することを知らない人だとも言えます。
もちろん、そういう男性すべてが、愛することを知らない訳ではないでしょうが・・。
ただ、その軽い行動の背景には、もしかすると手の届かない相手に恋い焦がれてしまったばかりに、満たされない欲望があるのかもしれません。
そして、その代替行為として、女性たちをとっかえひっかえしている可能性があります。
或いは、ものすごい寂しがり屋で、愛することよりも愛されることに重点を置くタイプだとも考えられます。
しかし、いずれにせよ、気の毒な精神状態に変わりはありません。
その点で言えば、遊ばれたと知りつつも、彼への想いを捨てきれない、一途な主人公の女性の方が、よほど心が豊かで幸せに見えて来るから不思議なものです。
その愛情を、別の誠実な男性に向けられれば、彼女はもっと幸せになることが出来るのに・・。
しかし、彼に対する想いがまだ胸にいっぱい満ち溢れているから、彼女は次に踏み出せず、そのため、苦しんでいるのです。
一方で、彼女はどこかで、まだ彼を想っていたいと願っているような気配も伺えます。
そうでなければ、浮気者の彼との関係に「永遠」を夢みたりしないでしょう。
もしかしたら、彼女が真実溺れているのは、彼自身ではなく、恋愛がもたらす魔法のような陶酔感なのかもしれません。
恋愛は、種の保存という生物的欲求に深く関係する感情です。
そのため、時に中毒性を帯びる危険も併せ持っています。
この歌は、そんな恋愛の狂気に囚われた女性のことを歌ったものだとも捉えることが出来そうです。
まとめ
高田みづえ「そんなヒロシに騙されて」の歌詞の意味を考察しました。
主人公の女性は「ヒロシ」というルックスもファッションも素敵だけれども恋愛関係にだらしない男性を愛してしまいます。
彼女は彼のことに夢中になって舞い上がりますが、彼の心は既に別の女性のもとへ・・。
彼の心の中に自分はいないと気づいても彼のことが忘れられず、もしかしたらと思ってしまう女心。
彼女は彼のことを忘れられず今日も悶々とした気持ちで過ごすのでしょうか。
月日が巡り、彼女の心に穏やかさが戻り、本来の進むべき道に戻れることを期待したいですね。
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