この記事は、松村和子「帰ってこいよ」の歌詞の意味を考察します。
1980年に発売されたこの曲は、聴く人それぞれの故郷に想いをめぐらさせ感動を与え、人気の曲となりました。
それでは、松村和子「帰ってこいよ」の歌詞の意味を読み解いていきましょう。
松村和子「帰ってこいよ」はどんな曲
【帰ってこいよ】
アーティスト:松村和子
作詞:平山忠夫
作曲:一代のぼる
リリース: 1980年4月21日(ビクター音楽産業)
★チャート最高順位
週間5位、1981年度年間17位(オリコン)
「帰ってこいよ」は、1980年4月に松村和子のデビューシングルとして発売されました。
彼女は当時10代、ロングヘア姿で津軽三味線を引く姿は演歌歌手と言うよりはロック歌手のような雰囲気がありました。
年末にはレコード大賞で新人賞を獲得したこの曲はさらに翌年もじわじわとロングヒット。
そして、1981年度オリコン・シングルチャートでは年間ランキング17位、売上枚数は53.7万枚を記録しました。
松村和子「帰ってこいよ」の歌詞の意味を考察
この楽曲の舞台は青森県。歌詞に出てくる「お岩木山」は青森のリンゴの産地。
東京へ行ってしまった女性に「帰ってこいよ」と故郷へ戻ってきてくれる事を想う歌です。
どのように男性の心を表している歌なのでしょうか・・。
「きっと帰ってくるんだ」と言ったのは男性で女性は小さく頷いてそれに応えます。
恋人同士だったと思われる表現もありますが、2人で一緒に上京する事は無かったようです。
男性の家が農家で跡を継ぐなどで上京出来ないような事情があったのかもしれません。
歌詞は男性の心を綴ります。
あの日、二人で茜色に染った綺麗な夕焼けを見ながら「誓った恋」。
それを東京に行って、忘れてしまったのかい?
男性はこのように言っていますが、果たして女性はどうだったのでしょう。
地元では働き口がないから東京へ行ったのか、それとも夢があって東京へ行くのか。
どちらにしても彼女にはやりたい事があって上京したのがと思います。
小さい頃からりんご畑で一緒に遊んだ2人は幼なじみだったようです。
しかし、恋人以上にはならなかった。
男性の母親の発言が、とても優しい、いい子だった、「お前の嫁に欲しかったね」と過去形で言っていることからも分かります。
男性と一緒になることよりも東京で生きていくことを決めた女性。
彼女にとっても男性との恋は過去のものであり、男性も彼女が帰ってこないのは理解しています。
しかし、男性は以前、二人の恋を誓って、彼女が小さく頷いてくれた事に微かな希望を持っている。
さて、ここまでをまとめると、男性の失恋ソングなのですが、歌詞の3番に注目してみると、男性の優しい決意を知る事が出来ます。
都会で女性が1人で暮らすことは寂しさや辛さを感じてしまうこともあるでしょう。
もし、彼女が東京で素敵な男性と巡り会うことが無かったら・・。
もし、彼女が東京で夢や仕事が上手くいかなかったとしたら・・。
東京へ行った彼女が、何もかも上手くいかなくて傷つき、故郷に帰ってくる事があったとしたら。
そのためにあの娘が帰って来る日を1人待っているのかもしれません。
男性のただの希望かもしれないし、無駄な事なのかもしれない。
男性は思います。
「こんなにきれいな茜空」はあの日と変わらず美しい。
故郷の風も冷たくて厳しいが、故郷を感じさせるだろう。
もし、彼女が帰ってきたら、故郷は何も変わらないままで彼女に迎えてくれる。
自分も変わらずそこに居て、彼女を迎えよう。
彼女は自分が育った故郷を忘れる事は無いだろう。
彼女が帰ってこないのはあの夕焼けの日の誓った恋の思い出を忘れるくらい、上手くやっているからなのだろう、彼女が上手くやれているのであれば、それはそれでよいことだ。
でも「きっと帰ってくるんだ」
男性のその言葉は、辛くなったらいつでも帰っておいで、故郷はいつでも変わらずあなたを迎えてくれる場所なのだから、と言う意味の言葉なのだと思います。
未練が無いとは言いきれませんが、送り出す前にはそうした気配は出さなかったのではないかと思います。
それが分かったからあの時彼女も「小さく頷いた」のではないでしょうか。
このように、男性の失恋ソングのように思われるこの曲ですが、よく考察してみると男性が女性にとって変わらない故郷であろうと言う決意を表したものとも解釈することが出来ます。
故郷はどんな時でも変わらずあなたを待っている。
そんな思いが伝わるこの曲は故郷を離れた人たちの心に響いたことでしょう。
まとめ
松村和子「帰ってこいよ」の歌詞の意味を考察しました。
青森県のリンゴの産地での友達以上、恋人未満の若い男女。
女性は故郷を離れ、一人で東京へと出ていきます。
彼女にとっても男性との恋は過去のもので、男性も彼女が帰ってこないのは理解しているつもりです。
しかし、男性はそれでも、もし彼女が東京で上手くいかず傷ついてしまったら帰っておいで、僕はあなたの故郷であり続けるよという想いを持ち続けます。
それが聞き手を何とも言えない切ない気持ちにさせてくれます・・。
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