この記事は、安全地帯「悲しみにさよなら」の歌詞の意味を考察します。
1985年に発売されたこの曲は、玉置浩二の心に染み入る優しいボーカルが魅力。今でも人気のある彼らの代表曲のひとつです。
それでは、安全地帯「悲しみにさよなら」の歌詞の意味を読み解きましよう。
安全地帯「悲しみにさよなら」はどんな曲
【悲しみにさよなら】
アーティスト:安全地帯
作詞: 松井五郎
作曲:玉置浩二
リリース: 1985年6月25日(Kitty Records)
★チャート最高順位
週間1位、1985年度年間9位(オリコン)
北海道旭川市で結成された男性ロックバンド、安全地帯。
彼らは、アマチュア時代を経た後、しばらくは井上陽水のバックバンドとして活動していましたが、1982年ついにメジャーデビューします。
そんな彼らが1985年に発売した9枚目のシングルが「悲しみにさよなら」です。
作曲は、玉置浩二が自ら手掛けました。
この曲のヒットにより、安全地帯は、同年のNHK紅白歌合戦に初出場しました。
そして、オリコン・シングルチャートでは1985年度年間ランキング9位、売上枚数は44.3万枚を記録しました。
安全地帯「悲しみにさよなら」の歌詞の意味を考察
あるところに、悲嘆にくれる一人の若い女性がいました。
明るく笑えば、それなりに美人だと思える彼女ですが、その目線はいつも下を向いているか、上の空のどちらかです。
だから当然、そんな彼女を、ある男性が気にかけて心配そうに見守っていることにも気付きません。
しかし、ある時、ふとした瞬間に彼女が笑うのを、男性は目撃します。
それは、子供や動物など無邪気な存在と接した時に、彼女の顔から思わずこぼれ出たものでした。
その笑顔の美しさに、男性の心は強く惹かれます。
それは、彼女を心配する気持ちが恋心へと変わった瞬間でした。
だからと言って、悲嘆に沈むことが多い彼女ですから、最初はなかなか声を掛けることが出来ません。
それでも彼は、もう一度あの笑顔が見たくて、その距離を少しずつ縮めようとします。
まずは、挨拶から・・。
そして、互いに顔なじみになってきたら、天気の話など当たり障りのない話をしてみます。
そのうち、女性の方も男性に心を開いてくれるようになってきました。
彼と話している時は何故か、彼女は心に抱える辛さを忘れることが出来ます。
そして、彼女はやがて気付くのです。
彼に会うのを楽しみにしている自分がいることを。
一方、男性は女性の心がほぐれてきてきたのを見計らい、思い切って彼女を食事に誘うことにしました。
彼の誘いに驚きつつも応じる彼女。
そして、二人だけの食事を何度か重ねた後、彼は、彼女に想いを告白しました。
戸惑う彼女でしたが、彼ともっと仲良くなりたいという気持ちもあったので、交際に踏み切ることにしました。
ただ、それを始めるに当たって彼女は一つ大切なことを彼に告げる必要があると感じ、彼女は今まで自分が胸中に抱えていた心の痛みを彼に話すことにしたのです。
それは、少し前の話・・。
彼女は、ある男性を深く愛し、その男性も彼女を大事にして付き合っていたのですが、いつしか男性の心が離れ、結果、彼女は捨てられてしまったのです。
そして、未だに彼女はその男性への想いを引きずっていると言います。
彼女の心痛を初めて知った彼は、それを優しく受け止めます。
こうして、二人の交際はスタートしました。
会う度に、優しい彼に惹かれていく女性。
一方で、時折、過去の思い出がよぎってその表情が曇ります。
その様子に彼も気付いていました。
なんとか彼女の心の傷を癒してあげたいと思う彼でしたが、一体どうすれば良いのか分かりません。
それでも、彼は彼女のことを愛していましたから、どんなに時がかかろうとも、彼女に寄り添い続けようと、それだけは固く心に誓うのでした。
新しい恋人との交際が始まって嬉しい半面、未だにかつて愛した人への未練を断ち切れなくて苦しみもがく女性の心理。
そして、それを察して温かく寄り添い続ける男性の想い。
この歌は、そんな二人の男女の心を、男性目線から描いた歌なのかもしれません。
昔の恋を引きずって、なかなか今の恋人との関係に集中出来ずにいる女性の精神は、ひどくアンバランスです。
彼女は、自分が元恋人の男性への未練が経ち切れないことも全部受け入れてくれた、今の恋人にとても感謝しています。
一方で、その優しさに触れる度に、過去に決着をつけられない自分を責める気持ちや、今の彼に対する罪悪感も湧いて来て、ただでさえ不安定な彼女の心に新たな負荷が加わります。
このように優しさは、場合によっては相手を苦しめることにもなるのです。
それに一見、辛抱強くて優しいものに思える彼の感情も、実際はもどかしさでいっぱいの状態だったりします。
それを感じさせるのが、何度も繰り返されるサビの部分です。
“もう悲嘆にくれるのは止めて、笑ってごらんよ。大丈夫、俺は絶対、君のそばにいてあげるから。”
このような内容の歌詞は、男性の優しさと包容力を感じさせてくれますが、こう何度も繰り返されると、苛立ちの気持ちも裏に隠されているのかもしれません。
それでも「悲しみ」というのは、いつかは癒えるもの。
人間の心にも自然治癒力はあるのです。
だから、彼女が彼だけを見つめてくれる日は絶対来ます。
それを信じて、もう少しだけ彼には頑張ってもらいたいです。
まとめ
安全地帯「悲しみにさよなら」の歌詞の意味を考察しました。
悲嘆にくれる一人の若い女性。
過去に別れた元恋人への未練が経ち切れずに立ち直れない女性に対して、彼女のことを大切に思う男性が優しく包み込むように近くで見守るという内容でした。
優しい彼のおかげで女性も立ち直って、明るく前向きになってくれると良いですね。
その日には優しい彼の真の意味の偉大さを知るのかもしれません。
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