この記事は、中森明菜「十戒(1984)」の歌詞の意味を考察します。
1984年に発売されヒットしたこの曲は、煮え切らない相手の男性を一刀両断に切り捨てるカッコよさが魅力です。
そんな、中森明菜「十戒(1984)」の歌詞の意味を読み解いていきましょう。
中森明菜「十戒(1984)」はどんな曲
【十戒(1984)】
アーティスト:中森明菜
作詞:売野雅勇
作曲:高中正義
リリース: 1984年7月25日 (ワーナー・パイオニア)
★チャート最高順位
週間1位、1984年度年間6位(オリコン)
「十戒(1984)」は1984年7月にの9枚目のシングルです。
作詞は「少女A」、チェッカーズのヒット曲でも知られる売野雅勇、作曲はギタリストとして有名な高中正義が手がけました。
発売後、すぐに人気に火がついてヒットし、1984年度オリコン・シングルチャートでは年間ランキング6位、売上枚数は60.9万枚を記録しました。
中森明菜「十戒(1984)」の歌詞の意味を考察
十戒という意味はそもそも、モーセが神様から与えられた10ヶ条の守らなければならない決まり事。
この曲にとっての守らなければならないものは何なのでしょうか。
「愚図ね」から始まる歌詞。
いきなりの言葉にドキッとしますね。
この女性は彼に対しかなりの怒りを持っています。
それでも「過保護過ぎた」と次でありますので、それまではかなり優しかったのだろうと想像します。
彼に対し彼女は何に怒っているのか。特に「限界なんだわ」の所です。
本当に怒りを顕にしている表現・・。
もうあんたにはウンザリ。限界なんだわ。こんな言い方ですよね。
ここの表現から考察すると恐らく彼は浮気をしているのではないかと思います。
「カタをつけてよ」とありますので、彼はもう1人の女性となかなか別れられない。と想像します。
それは優しさではなくただ弱いだけ・・。
あなたの方が好きだよ。と言われても別れてくれなければ解決するものではありませんね。
今まではいつか別れてくれるだろうと我慢してきたのかもしれませんが、それをいいことに伸ばし伸ばしにしてきた彼・・。
「坊やイライラするわ」とまで言っているので、彼の優柔不断さに相当な幼稚さを感じてしまうほどの怒りだったのでしょう。
もう我慢も限界にきた彼女は、発破をかけるのです。
「ちゃんとこの辺でハッキリして。」
彼は態度を変えた女性に泣くほどびっくりしたのかもしれませんが、彼女とハッキリ別れて、と意思を明確に表しています。
初めにも書きましたが、「十戒」はモーセが神様から与えられた人々が正しく生きるために守る10ヶ条です。
ここでは、気持ちの限界を迎えた彼女が彼に対し突きつけたものが「十戒」なのでしょう。
十戒を例えてみるならば、
1、あなたには私の他に他の神が居てはならない
=あなたには私の他に女が居てはならない。
2、あなたは自分のために偶像を作ってはならない
=あなたには他に偶像(他の女性)を作ってはならない。
3、あなたは神の名をみだりに唱えてはならない
=いい加減な事を私に誓わないで。軽々しく好きと言わないで。
4、安息日を覚えてこれを聖なる日にせよ
=休みの日は彼女の所へ行かないで私のところに居て。
などと解釈する事が出来るでしょうか。
全部で10ヶ条を今回全て当てはめるのは本題から離れてしまうので割愛しますが、このように彼女は男性に浮気をやめてもらうように迫ったのでしょう。
今まで優しくしていたけれどもダメだった。
これまで穏便に済ませてきましたが、発破をかけるためにかなり強めの表現を出しているのは歌詞から伝わります。
彼女としては、彼女と別れなければさよならね!、と言うほど覚悟を持ったものでしょう。
そして彼は浮気をやめられたのかというと「いいわ冗談じゃない」とあります。
どうやら浮気女性としっかり別れることが出来なかったようです。
もうあなたとは別れるから、さあ別れましょうという意味の表現へと続きます。
そして続く、「坊やイライラするわ」。
1番では浮気女性と別れられない優柔不断さと幼稚さにイライラしてましたが、ここでは既に彼の全てに対しイライラしているような表現です。
結局のところは優しい彼女が良かったので、彼は浮気相手の女性を選んだのかもしれません。
そこに、イライラしている。そのように感じてしまいます。
しかし「きっと」や「…」などの表現が彼女の寂しさを表現していますね。
あなたがケジメをつけてくれたなら本当は別れたく無かった。と思わせる箇所です。
「十戒」は煮え切らない相手の男性に対して主人公の女性が与えたものですが、潔さの裏に微妙な無念さも垣間見られます・・。
まとめ
中森明菜「十戒(1984)」の歌詞の意味を考察しました。
浮気相手の別の女性と別れられない相手の男性の優柔不断さや幼さを一刀両断に切り捨てるようなカッコよさが感じられます。
同じような気持ちを持つ女性の共感を受けそうですね。
しかし、スカッとした格好のよさの裏側に反語のように『本当はそうあって欲しくない!』という意味が込められているようにも感じられます。
そのあたりの微妙な感じが垣間見れられるのもこの曲の魅力になっていると思います。
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