梓みちよ「二人でお酒を」の歌詞の意味を考察!新境地へのイメチェン曲 | カモシカおやじの趣味ブログ

梓みちよ「二人でお酒を」の歌詞の意味を考察!新境地へのイメチェン曲

昭和歌謡
※このブログでは、プロモーション広告を利用しています。
※このブログでは、プロモーション広告を利用しています。

この記事は、 梓みちよ「二人でお酒を」の歌詞の意味を考察します。

1968年に発売されたこの曲は、大人の恋愛とお酒をテーマに圧倒的な歌唱力で人気となりました。

また、胡坐をかいて歌うスタイルも話題となりました。

それでは、梓みちよ「二人でお酒を」の歌詞の意味を読み解きます。

 

スポンサーリンク
スポンサーリンク

梓みちよ「二人でお酒を」はどんな曲

【二人でお酒を】

アーティスト:梓みちよ

作詞:山上路夫

作曲:平尾昌晃

リリース: 1974年3月25日(キングレコード)

★チャート最高順位
週間11位、1974年度年間18位(オリコン)

「二人でお酒を」は1974年3月に梓みちよの34枚目のシングルとして発売されました。

大人の男と女の心の機微を描いたこの曲は、「こんにちは、赤ちゃん」で清純派アイドルの先駆けであるイメージが定着した梓の新境地を切り開くのにぴったりでした。

梓自身もこの曲を気に入り、孤独な女の強がりを見事に表現しています。

1974年度のオリコンの年間シングルチャートでは第18位、売上枚数は38.4万枚を記録しました。

 

梓みちよ「二人でお酒を」の歌詞の意味を考察

登場人物は、主人公の女性と交際相手の男性。

二人の様子を覗いてみましょう。

 

6畳に満たない小さな和室は、さっぱりと小ぎれいに片づけられていました。

鏡台に飾られた白い花の甘い香りがふんわりと部屋に漂っています。

 

鏡台の前では、年のころは30半ばでしょうか。

女性が茜色の紅をひいています。

その背中を見つめるのは、同じ年頃の男性。

 

小さなちゃぶ台の前で、冷酒を啜りながら寂しそうな眼差しで見つめています。

に締めた彼女の背中に、男が声をかけました。

お前、これからどうするんだ

 

どうするんだ、って。おかしなこと聞く人ね。言ったでしょ。

『あたしは誰の女房にもなる気は無い』って。

同じこと二度も言わせないでよ」

 

男は口をつぐみましたが、やがて、ぼそりとつぶやきました。

お前となら、幸せになれると思ったんだけどな

 

わたし、言ったでしょ、全部きれいさっぱり忘れて、他人に戻りましょう、って。

他人に戻るってことは、恨みもしない代わり、気にもかけないってことよ

そう言って、女は手早く髪を折り込むと、夜会巻きに結いあげました。

 

女は着物の白襟を軽く均すと、独り言のように呟きました。

あの店に出るのも、今日で最後だからね。うんと綺麗にしてかなきゃ…

 

男は、自分がてんで相手にされていないことを悟ると、ふてくされたように、乱暴におちょこを置きました。

女はさっと男を振り返ると、母親が子どもを諭すような声音で語りかけます。

仕方ないでしょう。あたしは、渡り鳥なのよ。

あたしは、家庭に入るのには向いていないの。

首輪をつけられるのは性に合わないのさ

 

そう言って鏡を見ると、マスカラが目の下にうっすら滲んでいました。

嫌だ、こんなパンダ目してたら、お客さんに笑われちゃう

綿棒でそっと拭います。

 

ふと、鏡にうつる自分の顔が、若い頃の母親と瓜二つなことに女は気づきました。

彼女の母も、場末のスナックで働く女でした。

母一人、子一人で生きてきたせいか、彼女は子どもらしくない、どこか達観した雰囲気を持つ少女に育ちました。

子どもの頃から、「可愛げのない子」「生意気な娘」と言われてきました。

そんな大人たちに反発するかのように、悪い仲間と付き合ったこともありました。

他の少女たちより大人になって、差をつけてやったようで、密かな優越感を感じることもありました。

 

母親は、夜遅く、足音を忍ばせて帰ってくる娘に対し、何も言いませんでした。

そんな母への当てつけのように、彼女はますます、生意気で奔放な娘に育ちました。

 

やがて、嘘を重ねることに慣れました。

諦めることに慣れました。

端からまともに取り合う気のない人に、ムキになったって仕方がない

そう学んだのは18歳の冬、初めて彼女が本気で惚れた、恋人との別れ話の時でした。

 

いつか、一緒に飲みましょうね。今度は友達として

玄関に向かう男の背中に声をかけると

お生憎、俺は、男女の友情ってのは信じないタチでね

という捨て台詞とともに、乱暴にドアを閉める音が聞こえてきました。

 

そして、日付が変わるころ。

駅前の小さな飲み屋から、女が出てきました。

後から、ママらしき年配の女性が見送りにやってきます。

 

彼女は、数時間前とは打って変わって、地味だけれど品の良い、セーターとスカート姿で、髪は軽く櫛を通して背中に流していました。

口紅を落とした顔は、意外なほど若く、頼りなく見えます。

 

ママが彼女の顔を覗き込むようにして言いました。

「本当に後悔しないの?

今更、昼の仕事に就くだなんて、うちで働くほうがよっぽど稼ぎがいいのにさ」

 

それでもただの姉さんに戻りますよ、きらきらきれいな蝶々になるのは、もううんざり。お客さんへのご機嫌取りにも疲れました

女はさっぱりとした顔で、ママにそう告げました。

これまでも女一人で生きてきたんです。何とかなりますよ。また、落ち着いたら、顔を出します。
今までお世話になりました

 

そう言って、女は、月明かりの下、深々と頭を下げました。

頭をあげた刹那、脳裏に、今日の男のふてくされた顔が浮かびました。

 

いつか、あたしたち、いい友達になれるわ。

もしも、あんたがこれからも独り者で、寂しくなったら、お酒の一杯ぐらい付き合ってあげる。

愚痴もちょっとだけなら聞いてあげる。でも少しだけよ。

恋なんて、深みにはまったら、ほんと、ろくなことが無いんだから…

 

女は軽く手を上げると、タクシーに乗り込み、深い夜の闇に吸い込まれていきました。

あと数時間もすれば夜明けがやってきます。

彼女の新しい人生の幕開けです。

 

スポンサーリンク

まとめ

梓みちよ「二人でお酒を」の歌詞の意味を考察しました。

大人の恋愛とお酒をテーマにした男女の別れに関する内容でした。

お互いに恨みもしないで別れましょうと恋人に別れを告げる主人公の女性ですが、淋しくなったら二人でお酒を飲みましょうとも…。

 

主人公の女性の強気な姿勢の裏側にうっすらと透けるように弱さを垣間見ることもできます。

同時に女性の人間的なスケールの大きさや力強さも感じられて、おおらかな気持ちにさせてくれるように思いました。

 

【関連記事】
細川たかし「浪花節だよ人生は」の歌詞の意味を考察!恋する女性の哀しい定め
テレサ・テン「時の流れに身を任せ」の歌詞の意味を考察!禁断の恋に身を焦がす

日本ぶろぐ村

にほんぶろぐ村

error:
タイトルとURLをコピーしました