この記事は、少年隊「仮面舞踏会」の 歌詞の意味を考察します。
この曲は、1986年にリリースされた少年隊のデビュー曲です。
オリコンチャートでは1位を記録し、数々の新人賞を受賞、紅白歌合戦出場を果たしました。
それでは、「仮面舞踏会」の歌詞の意味を読み解きます。
少年隊「仮面舞踏会」はどんな曲
【仮面舞踏会】
アーティスト:少年隊
作詞:ちあき哲也
作曲:筒美京平
リリース: 1985年12月12日( ワーナー・パイオニア)
★チャート最高順位
週間1位(オリコン)、1986年度年間3位(オリコン)
「仮面舞踏会」は少年隊のデビュー曲ですが、オリコンのチャートになんと初登場で第1位を記録。
1986年のオリコン年間チャートでは3位、シングル販売は47.8万枚と少年隊の最大のヒット曲となりました。
少年隊「仮面舞踏会」の 歌詞の意味を考察
少年隊といえば、やはり筆頭に上がるのがダンスの実力でしょう。
下積み時代に、マイケル・ジャクソンの振付師であるマイケル・ピータースの特訓を受けているのです。
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優れた身体能力を最大限に引き出したダンスは、当時の一般的な「歌って踊れるアイドル像」とは一線を画するものでした。
この仮面舞踏会も、打ち込みが細かくリズムを刻む、切れ味の良いナンバーに仕上がっています。
仮面舞踏会といえば、フィギュアスケートのテーマ曲に選ばれたのも記憶に新しい、ハチャトゥリアンのクラシックが有名ですが…。
少年隊の歌う仮面舞踏会も、昨今の80sブームに乗って、再注目されています。
華やかなパフォーマンスに目がいきがちな仮面舞踏会ですが、ここでは趣向を変えて歌詞からその魅力を探っていきましょう。
マスカレード(仮面舞踏会)は、カーペンターズや安全地帯など、よく曲の題材に使われるキーワードです。
仮面で素性を隠し、貴賤を問わず自由に交流しあえるイベントは、数えきれないほどの、悲喜こもごものドラマを生み出したことでしょう。
かのルイ15世の寵姫であった、マダム・ポンパドゥールも平民の娘でしたが、仮面舞踏会で女神ダイアナに扮したことで王の心を射止めたと言われています。
この曲も、一夜限りの狂乱の夜を歌っているようです。
主人公は平民の青年でしょうか。
どうやら相手の女性は、物腰から察するに身分の高い令嬢のようです。
仮面(ペルソナ)は心理学用語でもよく使われる言葉です。
仮面を身につけることで、羞恥心やプライドを脱ぎすて、素顔の自分になれる。矛盾しているようですが面白いものです。
主人公の青年も、令嬢をけしかけます。
鯨の骨のコルセットで、体ばかりか心までぎゅうぎゅうに締め付けられる窮屈な日々は、うんざりだろう?
今夜だけは獣に戻り、心ゆくまで己を解き放てば良い。
朝日が昇り、仮面を外せばすべては、美しい悪夢で済まされる。
青年がつけている仮面は、どんなものでしょうか。
美しいインキュバス(男の夢魔)を彷彿とさせるものでしょうか。
それとも案外グロテスクな、黒馬のナイトメア(悪夢の精)かもしれません。
どちらにしろ、令嬢にとっては招かれざる客であり、なおかつ待望した救いの手でもあったでしょう。
青年に身をゆだね、ぎこちなくステップを踏む彼女に、青年は愛の言葉をささやき続けます。
愛の言葉は、心を解き放つ魔法の呪文となり、彼女の足さばきは徐々に大胆になっていきます。
やがて、彼女は青年の腕を払いのけると、ドレスの裾を翻し、軽やかにターンを決めます。
その表情にはおどおどしていたものは消え、寧ろ青年をたぶらかすかのような凄みを帯びた美しさが漂い始めます。
いつの間にか立場は逆転し、青年は蜘蛛の糸のように彼女の指にからめとられました。
ほんの一夜、弄んで終わりにするはずが、真紅のダリヤのように花開いた彼女にとらわれ、身動きが取れません。
楽器隊の奏でるメロディはテンポを速め、青年はもつれるように彼女の胸にもたれかかります。
視線が絡み合った瞬間、彼は恋に落ちたことを悟ります。
演奏を止めるな。
終わってしまえば、そのしなやかな身体も、燃え盛る心も、あの忌まわしい鎧でがんじがらめにしてしまうのだろう。
一夜だけの過ちというなら、せめて、仮面の下の素顔を見せてくれ。
宴の熱におかされていたから、なんて陳腐な言い訳は聞きたくない。
お前自身のむき出しの心で俺を求めてくれ。
歌の中で、令嬢は聖女に例えられていますが…
もしかすると、聖女の仮面をつけたサキュバス(女の夢魔)だったのかもしれません。
非情にも夜は明け、辺りに静寂が戻っていきます。
ひとり、ひとりと朝もやのなかに姿を消し、二人の本当の物語は、ここから始まるのかも知れません。
まとめ
少年隊「仮面舞踏会」の 歌詞の意味を考察しました。
立て続けにヒット曲を出し、一世を風靡した少年隊は平成に入ってからは、役者、舞台演出家などそれぞれが目指す道で活躍していきました。
一方で、2020年に活動休止するまで、ジャニーズの最年長グループとして後輩を育て、数えきれないファンから愛されてきました。
令和の現在、抜群の運動神経を誇り、キャッチーなメロディで幅広い世代の心をとらえたエンターティナー、K-POPアイドルが人気ですが…
少年隊は時代を先取りしていたアイドルグループだったのかもしれません。
温故知新とはよくいったもので、今の流行のルーツをたどれば意外な発見があります。
少年隊のエンターテインメントとしてのクオリティの高さは、こうして次の世代のアイドルたちに、脈々と受け継がれています。
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