この記事は、こいぬ座のギリシャ神話のあらすじ、星座の特徴、α星プロキオンなどを紹介します。
こいぬ座は、おおいぬ座の陰で少し地味で応援したくなる星座です。
あなたもこれを読めば、こいぬ座の神話のあらすじ、星座の特徴、α星プロキオンなどを知ることができます。
こいぬ座はどんな星座、特徴は?
「こいぬ座」、名前だけでも、きっと可愛らしい小さな星座だろうと想像しますが…。
その名の通り小さく可愛らしい星座です。
面積も小さいので、目立った星雲などはありませんが、ささやかでも堂々と存在感のある星座です。
確認できる星はたった2つ、1等星のα星プロキオンと3等星のβ星ゴメイサ。
多くの星座の解説でも、この2つが「こいぬ座」と紹介されています。
プロキオンは、オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウスと共に有名な“冬の大三角形”の構成メンバーです。
冬の大三角形は、ほぼ正三角形。
“オリオン座”の肩の赤いベテルギウス、そして一番大きな“おおいぬ座”の青白く輝くシリウス。
そして残る1つ、やや黄色がかった他の2つよりやや小ぶりの1等星が“こいぬ座”のプロキオンです。
プロキオンの少し北に3等星のβ星ゴメイサがあります。
プロキオンが下半身、ゴメイサが頭。
ゴメイサの付近にこいぬの頭をかたどる小さな星がいくつかあるのですが…。
メインの2つ以外は肉眼では、なかなか確認するのは難しいでしょう。
こいぬ座は常におおいぬ座とセットで語られています。
メインであるプロキオも神話だけでなく、星自体がシリウスに関わるお話となっています。
こいぬ座のギリシャ神話や伝承は?
こいぬ座の神話は、そのほとんどが「おおいぬ座」と同一化されています。
おおいぬ座の記事でも、いくつかの神話を紹介しました。
しかし、元々その神話のどれが「おおいぬ座」で、どれが「こいぬ座」なのか?は、明確に伝わってはいません。
ただ、オリオン座のそばにあることから、この2匹はオリオンの猟犬、というのが“星座の神話”として一般的なようです。
ではこいぬ座のお話を紹介します。
まず、登場人物はオリオン。
狩りの名人オリオンは常に信頼のおける2匹の愛犬を連れていました。
立派な大型犬と、まだ幼犬(一説では小型犬)。
オリオンは、どうやら大の犬好きで、犬には非常に優しく金も時間も労力も惜しまず育てていました。
その甲斐あってか、2匹の犬は大変賢い忠犬となりました。
大犬(おおいぬ)は経験が豊かでオリオンをサポートし確実に獲物を仕留める力と技を持ちます。
小犬(こいぬ)は体は小さくても持ち前の嗅覚と洞察力で瞬時に獲物を見つける能力に長けていました。
ある日、オリオンはなんとな~く、ひまつぶしに狩りに出かけました。
小犬は今日こそは、素敵な獲物を小犬自身で仕留め、大好きなオリオンに褒めてもらおうと、いつも以上にやる気満々でついて行きました。
川辺でランチタイム…。
大犬も小犬もオリオンの近くで伏せをして周囲を監視します。
オリオンは今カノの手作り弁当をひろげ、ゆっくり味わいながら食べていた時…。
不意にコロッと弁当箱からおかずがこぼれ落ち、小犬の鼻先に転がり落ちたのです!
(あ~メチャ美味しそう♡)
けれど「よし!」と言われない限り、食べれてはならないのがご主人に忠実な犬の決まりです。
小犬はじっと我慢…。
おかずから意識をそらし、素知らぬ顔を決め込みますが…体が反応してシッポが揺れています。
あ~!大好きな唐揚げが!!
ま、いいか。
オマエにあげちゃう!犬には濃い味はダメなんだけどね…
小犬は瞬時にご馳走に食いつきゴックン!嬉しくて、ますますやる気Max!
オリオンがお弁当を食べ終え、休憩をする間、小犬は周囲を警戒し不審者がいないか?
獲物が現れないか?目を光らせていました。
その時、川の向こう岸にフワフワした影!
大きなウサギではありませんか!
キャ~ン!キャンキャン!くぅ~んくぅ~ん!
(オリオンさ~ん!みて、みて!綺麗なウサギだよ)
小犬はピカピカの獲物を発見。
小犬の遠吠えに、大犬も大きなウサギを確認し吠えかかります。
バッフォ、バフォ!ウォ~ン
(ほんとだ、行こう!オリオンさん)
どうした?…おや、いい毛並みの大きなウサギだな。よし行こう!
オリオンと大犬は、大きな川をバシャバシャと渡り、ウサギを追いかけました。
しかし、小犬は体が小さくて川が渡れません。
川に前足突っ込んでみましたが、流れも速く、このまま飛び込めば、間違いなく流されてしまいます。
キャンキャン吠えながら川辺をウロウロと行ったり来たり…
あ、オマエはそこで待ってていいから~
自分が見つけたウサギなのに…ご馳走頂いた分、頑張ったのに!
また手柄を大犬に持って行かれた。
小さいから置いてきぼりだ…悔しいよぅ~
小犬は悔しさで目をウルウルさせながら、対岸からオリオンと大犬がウサギを追い詰め仕留める一部始終を、ただ眺めていることしか出来ませんでした…。
こいぬ座と、おおいぬ座&オリオン座の間には天の川があります。
こいぬ座だけ川の反対側にあるのは、川を渡れず置いてきぼりにされたためだそうです。
また、この時のウサギは神の使者…。
のちに、うさぎ座となって、オリオンの足元にあります。
うさぎ座の神話も星座の位置と上手に結びついています。
こいぬ座のα星プロキオン、β星ゴメイサとは?
こいぬ座のα星プロキオン、β星ゴメイサの2つの星。
地球からの距離はプロキオンが114光年、ゴメイサは162光年。
地球からはプロキオンの方が手前にあるので大きく輝いて見えますが、同じ距離に置いたとすれば、太陽の約3倍あるゴメイサの方が実は大きい星なのです。
α星プロキオンの名前には「犬の先駆け」という意味があり、おおいぬ座のシリウスより一歩先に登場するため、その名前がついたといいます。
シリウスが夜空の主役になる時期はエジプトのナイル川が氾濫(はんらん)シーズン。
シリウスよりも少し早く現れるプロキオンは、これから始まる水害への注意喚起。
人々は事前の準備や安全の確保などに気を配ったのでしょう。
β星ゴメイサには「泣きぬれた瞳」という意味があります。
ゴメイサとは本当はプロキオンに名付けられた名前だったとか。
長い年月で二転三転し、結局β星の名前に落ち着きました。
まとめ
こいぬ座のギリシャ神話のあらすじ、星座の特徴、α星プロキオン、β星ゴメイサを紹介しました。
こいぬ座は歴史ある古い星座ですが、位置も神話も名前も「おおいぬ座」に振り回されている感じで、少し可哀想な気もしますね。
古代アラビアでは、こいぬ座「プロキオン」とおおいぬ座「シリウス」、そしてりゅうこつ座「カーノプス」の3つの星を、強い絆で結ばれた三姉妹に見立てる伝説があります。
(一説ではカーノプスは長兄とも)
カーノプスはある事情で川の向こうへ逃げてしまいました。
それを心配し、勇気を出して大河を渡って追いかけた妹のシリウス。
しかし、末妹のプロキオンは小さくて大河が渡れず、岸辺で2人を想って泣いている、というお話です。
こちらも星の位置と天の川を絡ませた物語。
プロキオンが元々はゴメイサ「泣きぬれた瞳」と名付けられていた名残も感じます。
こいぬ座に秘められた神話の物語…。
こいぬ座のメインの星は2つ、冬の大三角形の1つ「プロキオン」さえ見つければ簡単に辿れます。
ぜひとも、夜空に瞳を潤ませた小犬の姿を探してみて下さいね…。
少しでもこいぬ座にご興味を持っていただければ幸いです。
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