この記事はくじら座の神話のあらすじ、星座の特徴、変光星ミラやタウ星などを紹介します。
くじら座は目立たない地味な星座ですが、天文好きには興味深い星座です。
あなたもこれを読めば、くじら座の神話のあらすじ、変光星ミラやタウ星などを知ることができます。
くじら座はどんな星座、星座の特徴は?
くじら座の見ごろは晩秋から初冬にかけてです。
南の空から顔を出します。
「くじら座」は全天で4番目に大きい星座。大きいわりに目立つ星は2つほど。
頭とお尻の星の以外、小さい星ばかりで全体を確認するのは少々難しいかもしれません。
まず、秋の夜空の主役、ペガスス座の大四辺形とオリオン座を探しましょう。
この2つの星座の間にくじら座があります。
ペガススの大四辺形から東方向にたどると、くじら座β星のデネブカイトスという2等星があります。
くじら座の一番大きな星でシッポ部分です。
そこから北東方向の3等星α星メンカルは、クジラの口元に当たります。
よく見ると、メンカル付近に3~4等星の星がありクジラの頭を作ります。
くじら座で一番有名な変光星ミラはクジラの首の位置にあります。
明るさが変化する変光星なので光が弱い時期もあり、常に目印とはいえません。
星座絵では、海で生きる巨大な哺乳類のクジラではなく、頭がアザラシやトドで妙な前足があり下半身は魚の珍獣です。
星座が作られた頃も、これはクジラとはいえないのでは?
なぜこれをクジラと呼ぶのか?謎ですね…。
くじら座の神話や伝承は?
くじら座は、ギリシャ神話のアンドロメダ座やペルセウス座の物語に登場する海神ポセイドンがつかわしたアンドロメダ姫を襲う海獣“ケートス”というのが定説です。
魚座や牡羊座の神話に登場する、川沿いの神々の宴を襲撃した“デュポン”も、このクジラだといわれています。
ケートス、デュポン、そしてティアマトなど、このクジラにはいくつかの名前が伝えられています。
くじら座の正体とは?どうして人や神々に危害を加えるのでしょうか?
古代メソポタミアの創世神話に、この怪物のモデルといわれる「ティアマト」が登場します。
ティアマトは原始の海の女神です。
海の女神ティアマト(海水)と水の神アプスー(淡水)はたくさんの神々を生み出し、まず神の世界を作ります。
そして、生まれた神々が人間を作ります。
ティアマトとアプスーはこの世の創世神です。
女神ティアマトの姿は人型ではありません。
では、姿はどんなだったかというと…水の中を泳ぐ巨大な珍獣風で不明確な姿。
その異形が様々な生物のカタチのモトとなったともいいます。
世界を作るため海の女神ティアマトと水の神アプスーは、じゃんじゃん神を生みだします。
その神々が、またじゃんじゃん神々を生み…ねずみ講ばりに神を増産し、神々の世界の基礎が出来ます。
しかし、神というものは世界共通で自己主張が強くワガママで身勝手、そしてオトナゲナイ。
ティアマトとアプスーが生み出した神々も増えれば増えるほど、なんやかんやとアチコチで問題を起こします。
そして、その中から実権を握るモノが現れます。
ダメだ、こりゃ。一気に作りすぎたし~。うるさくて勝手だから、少し始末して神々の整理をしよう
みんな私たちの子ども。それぞれ想いがあってのこと、様子を見ましょう?災い転じて吉となるはす。お願い殺さないで!
海の女神ティアマトは神々をかばい、何度もアプスーをいさめます。
そんなことを言ってもウザいし~
しかし、アプスーは実行に移します。
力をつけた神々は、そんなアプスーなんて、邪魔で仕方がないのです。
「もう、自分達で世界も子孫作れるし~、オッサン邪魔やねん!」と束になって襲い掛かり、アスプ―を殺してしまいます。
海の女神ティアマトと水の神アスプ―にずっと仕えてきた古参の部下は、アスプ―殺害事件に怒り大爆発!
ティアマトに反撃を進言します。
争いを好まないティアマトも、夫といえるアスプ―を殺され、長く支えてくれた部下たちの“熱血あだ討ち計画”を支持せずにはいられなくなりました。
息子を討伐隊長として怪物を従わせ出陣を許しましたが…あっけなく敗北。
とうとう、アスプ―を殺害した神の息子マルドゥクをリーダーにティアマト討ち入り隊が攻めてきました。
このままでは皆が傷つく。マルドゥクを丸呑みして戦いをオシマイにしよう!
海の女神ティアマト自身がマルドゥクに立ち向かい、口を大きく開けた瞬間!…アゴが外れた??口が閉じません。
ワナです!
マルドゥクはティアマトの開いた口から心臓めがけ矢を放ちました。
ぐわ、…フガ、んが~
海の女神ティアマトは様々な想いを胸に、涙を流しながら崩れ落ちていきました。
絶命したティアマトの身体は「人間世界」を創るため素材として、まずは天と地2つに分けられ、さらに解体され山や森、草原など大地としてリサイクル。
最後にその目から流れた涙はチグリスとユーフラテスの川となったといいます。
そして、この地に神々はヒトを生み出しました。
のちに世界を創った「マルドゥクの伝説」は正義、異形のティアマトは恐ろしい悪の怪物として伝わります。
けれど、何があっても自分の生んだ神々を命がけで信じ守った末、結果的に世界の礎になったティアマト….
真実は最期まで母の心を持ち続けた“母なる原始の女神”だったのでしょう。
ヨーロッパ一帯の神話が融合されても、神話には必ず恐ろしい怪物たちが登場します。
その中で水の怪物がティアマトを模しているのは、創生神話の名残なのかもしてません。
では、ティアマトからのコメントに耳を傾けてみましょう…
私、神々の宴は楽しそうだから見に行っただけ!
アンドロメダも美人って聞いたから、どんな娘かな?って…食べないわよ!だいたい、怪物をなんでも私にしないでくれる?!
…だそうです。
くじら座の変光星ミラやタウ星は?
くじら座の一番の目玉は、クジラの首のあたりに位置する変光星ミラ。
ミラとは「不思議なもの」という意味です。
約11か月の周期で2~10等星まで輝きを変えます。
輝いている思えば、数か月後は見えない!輝きが変化するミラは昔の人々には、かなり不思議なモノだったのでしょう。
近年の研究ではミラは寿命間近の赤色巨星で、太陽の440倍もある直径が伸びたり縮んだりを繰り返しながら最期の時を待っているといいます。
ミラ以外にも重要な星があります。
くじら座タウ星、くじら座の下半身にある3.5等星の恒星(二重星)です。
太陽によく似た恒星のため、周りに惑星が見つかれば生命体の存在が期待されSF小説などにも登場し注目されていました。
2012年、タウ星に4つの惑星が確認され、太陽系外惑星の存在が判明!
しかも、4つ目の惑星は液体の水が存在できる領域にあるらしいとのこと。
今のところ生命の存在は微妙?といわれていますが…こればかりは、分かりません。
今後の研究が進めばSFが単なる夢物語ではなくなるかもしれません。
太陽系外惑星とは太陽系同様に、恒星を公転する惑星系。
現在確認されている数は3000以上もあります。
ケンタウロス座、おおぐま座にも太陽系外惑星が確認されています。
はたして、生命体は見つかるのでしょうか…。
その他、くじら座にはNGC246惑星状星雲やM77渦巻銀河などもあります。
NGC246惑星状星雲は、その形状から「どくろ星雲」とも呼ばれています。
天文ファンには興味深い星座のひとつです。
まとめ
くじら座の神話のあらすじ、星座の特徴、変光星ミラやタウ星などを紹介しました。
くじら座が何故、クジラなのか?
きっと、大昔から海を泳ぐ大きなクジラは恐怖と同時に魅力的な未知の生物でもあったため、海に生きる大きな生命体をまとめて「クジラ」と呼んだのかもしれません。
くじら座は大きいわりに目印は少ないけれど、変光星ミラやタウ星の太陽系外惑星があります。
そしてクジラのお腹の辺りには、中心にブラックホールがあるM77渦巻銀河もあり“くじら座”には宇宙の謎がたくさん秘められています。
晩秋から冬の夜空、“くじら座”は、大きな身体をのそっと、まるでゴジラの登場シーンのように南の地平線からやってきます。
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