この記事はぎょしゃ座のギリシャ神話のあらすじ、α星カペラや散開星団を紹介します。
ぎょしゃ座は冬の夜空の天高くに見える、少し地味ですが見どころのある星座です。
あなたもこれを読めば、ぎょしゃ座のギリシャ神話のあらすじ、α星カペラや散開星団を知ることができます。
ぎょしゃ座はどんな星座?
ぎょしゃ座は、1等星のα星カペラはとても目立つ豪華な星ですが、それ以外は地味です…。
ぎょしゃ座は天の川の中にあり、そうそうたる有名な星座に囲まれています。
形はシンプルな5角形で覚えやすい星座です。冬の夜、北の空に堂々と現れています。
ペルセウスの東、ペルセウス座とふたご座の間に位置しています。
オリオン座や牡牛座にも囲まれています。
一番簡単な探し方は、オリオン座の三ツ星から1等星のベテルギウスには目もくれず、そのまま北に目を向けると、ひときわ輝く大きな星があります。
これがぎょしゃ座α星の1等星カペ。
ペルセウス座の東からふたご座までの間の2~3等星の星を繋ぐと、将棋の駒のような5角形が繋げます。これがぎょしゃ座です。
目を凝らすとカペラのすぐそばにピョロっとヒゲのような小さな星が2つ、これがお爺ちゃんが抱いた子ヤギです。
ぎょしゃ座の神話や伝承は?
ぎょしゃ座の神話も複数伝えられています。
一番有名なものは、古代アテナ王<エリクトニウス>説。
鍛冶の神の息子で、生まれた時から足が不自由だったので、日常は車いす生活。
戦(いくさ)では自身を馬に縛り付け、巧みに馬や武器を操り、後に壁画や歴史映画でも見る、馬に引かせる2輪戦車や4頭馬車を考案した、モノづくりの天才の王だったといいます。
また、父王テセウスの後妻から色目を使われ、父に誤解され馬車で逃げる途中に悲劇の死を遂げた<ヒュッポリュトス王子>説もありますが…。
2つともモデルは“馬車を開発や乗った人”であり、厳密には“ぎょしゃ(馬車に乗って馬を操る人)”ではありません。
もう1つの伝説、伝令神ヘルメスの子<ミュルティロス>説は一番ぎょしゃ座という名にふさわしいかもしれません。
こちらを紹介しましょう。
ある国の王オイマノスには神から授かった優秀な馬と馬車、そして、この馬車を唯一操れる馭者(ぎょしゃ)・神の子ミュルティロスが仕えていました。
おかげで戦いでは負け知らず、どんどん国は栄えました。
オイマノス王は「いずれ婿(むこ:娘の夫)に殺されるぞ」というお告げにビビっていました。
婿に殺されるのはイヤだ。姫には一生独身でいてもらおうかな?
でも、そんなこと言ったら、心の狭~い王だと思われるから、この戦車で競争して勝った者に姫をやろう!って事にしよう。
あの馬車は絶対負けないものね!
と無駄な競争ゴッコを何度も繰り返していました。
そこへ隣国の王子ペロプスがと名乗りをあげました。
姫をください!
ちょいとイケメンで口も達者だったので即、姫と王子は恋仲になりました。
あのチャラ男!今までで一番気に食わない。
ミュルティロス、今回は特別手当出すから、メッチャ差をつけて勝ってチョ!
王は、ペロプスと姫が恋仲なので、さらに敵意満々。
そもそも神の馬車に勝つのは至難の業。
そこで姫とペロプス王子は、勝つために、馭者(ぎょしゃ)であるミュルティロスの買収を企てます。
ミュルティロスよ、私を勝たせてくれたら、その場で給料5倍の現金払い、私の持つ土地の半分と地位と名誉を約束する!
そして姫までネコナデ声で懇願。
ねぇ~ミュルティロスぅ~お願い~♡
実は、ミュルティロスは秘かに姫に気があったので恋敵とはいえ、姫の「お願~い♡」は結構、効いたはずです。
そして、競技の日、オイマノス王を乗せた神の馬車と馭者(ぎょしゃ)は爆走中に突然脱輪!
王は転落し大惨事となります。
裏切り者!おまえなんかペロプスに殺されちゃえ!
瀕死の王はミュルティロスに向い、最後の言葉を残し死んでしまいます。
ペロプス王子と姫はミュルティロスとわずかなお供を連れ、王子の国に向かいました。
王子は姫ごと国まで手に入れたのにもかかわらず超不機嫌です。
用済みになったミュルティロスがメッチャ邪魔。
ミュルティロスも王へ背いたこと、プロの馭者(ぎょしゃ)として王の命だけでも救えなかったのか?と自責の念…。
だいたい、王子はずっとシカトで金払わないし!
ある海岸沿いの岬で、ミュルティロスはペロプス王子を呼び出しました。
王子、約束はどうした?何ひとつ約束は果たされてないが…
僕は勝たせて、って言ったんだ、殺せ、なんて言ってないよ!
岬の切り立った崖の上で2人は大乱闘。
ふと、ミュルティロスがバランスを崩したとき、ペロプス王子がドン!と一突き…。
ミュルティロスは叫びながら崖から落ちて行きます。
オマエの一族、末代まで呪ってやる…!
ミュルティロスの父・伝令神ヘルメスは、いいように使われ殺された息子を哀れに想い、ゼウスに頼み「ぎょしゃ座」として天に上げてもらったのです。
当時、この王宮で侍女(家政婦)をしていた女性に話しを聞くことが出来ました。
顔は出さないで下さいよ。モザイクかけるとか、それから音声も変えて下さい。気になる部分は後で“ピー”入れて下さる?
まずですね、姫とペロプス王子?…ま~公衆の面前でもイチャついて。
ちょっとハシタナイ位でしたよ~。
そんなだから、王も王子を皆の前でも“おう、チャラ男”とか呼んでましたね。
王と王子の競技の前夜、姫がミュルティロスをお呼びになったんです。
私。偶然にも扉の拭き掃除をしておりまして、聞こえてきちゃったんですのよ!
勝負の時、御父上の戦車に細工して、自分を勝たせてくれたら、土地を与え地位と名誉も保証する、即金でお金も出すって。
それから、姫のあの「ねぇ~ミュルティロスぅ~お願い~♡」って、ネコナデ声。これって買収でしょう!?
ミュルティロスがどう答えたか?超気になりましたけど、聞き耳を立をてる事がバレそうになったので、急いで退散致しましたわ。
そして、競技当日の大事故! 王が投げ出された時、私どもは、王に駆け寄りお助けしようとしたのですが…その時には「あら、まぁ!死んでる…」
王は全てご存知だったのですよ、王子の計略もミュルティロスの裏切りも…。
その後、姫はミュルティロスと私たちわずかなお供と王子の国に向かいました。
岬での野営の時、私、また見ちゃったんですの!王子とミュルティロスが岬で言い合っているところを!
「何も殺さなくても」とか「約束が違う」とか…誰かの死、海沿いの絶壁、言い争う合う男、…これはもうサスペンスドラマですわよ♪
ところが、これがまたイイトコロで、姫が私を呼んでて。あ~クライマックスを見逃しましたわ!…そして、翌朝にはミュルティロスの姿は消えていました。
きっと、王子が…あの時何かが、起こったに違いありません。
そこで終わりではありませんでした。
王子が王位に就いてからは、病気や天災、国内外で争い、さらには王家のお家騒動も絶えなくて…私、また聞いちゃったんです!
ペロプス様が「これは呪いだ。伝令神ヘルメスの神殿と、競技場にミュルティロスの記念碑をすぐ建てろ!」と指示しているのを…ミュルティロスはやはり呪いの言葉を残していたんですわ。
オイマノス王、ミュルティロス、そしてペロプス王一族へ、憎しみは憎しみを生み、その呪いはめぐりめぐるのです!
家政婦、いえ、侍女には守秘義務がございます。
何より、人生には言わない方が身のため、ということもありますでしょ?
人の呪いって怖いですわよ、あなたもお気を付けになって…。
ぎょしゃ座のα星カペラや散開星団、散光星雲とは?
ぎょしゃ座を代表するα星カペラ、地球からは約42光年の彼方にあります。
α星とは星座のなかで一番明るい星のことです。
カペラは1等星と言われますが、正確には0.1等星と1等星よりもずっと明るい、全天で6番目の明るさの恒星です。
実はよ~く見ると2組の連星が2つある「4重連星」なのです。
二重星とは地球から見ると1つに見えますが、実は2つが隣接している星。
また、連星とはお互い引力によって引き合っているもの。
早い話、カペラは1つに見えて4つの星が1つに重なって見えているのです。
ぎょしゃ座は天の川の中に位置しているので、星雲や星団にも恵まれています。
五角形の中央付近にはM36、M37、M38などの双眼鏡でも確認出来る散光星団があります。
散開星団とは恒星の集団のことです。
通常は比較的年齢が若く、高温で明るい星が多くなっています。
またIC405勾玉星雲、IC410おたまじゃくしまたはドクロ星雲、と呼ばれる美しい散光星雲もあります。
散光星雲とは、星間物質が恒星の光を吸収したり、光を放射したり、恒星の光を反射したりして不規則な形で明るく輝く星雲です。とても神秘的な感じがしますね。
まとめ
ぎょしゃ座のギリシャ神話のあらすじ、α星カペラや散開星団などを紹介しました。
ぎょしゃ座は、カペラしか目立たない!と思っていたら、なかなか魅力的な天体ですね。
詳しく見ると、二番目に明るいβ星も三重連星、他にも変光星などもあり、興味深いです。
ちなみにカペラから対角にあるβ星は実は牡牛座でもあるのです。
牡牛の角の先っちょです。β星自身はどっちがいいんでしょうか?
そもそも古代ギリシャ以前にも、ぎょしゃ座がありカペラを馭者で他の4つの星を箱のような馬車という壁画や逸話が残っているそうです。
ぎょしゃ座は、ヤギのヌイグルミを抱いた奇妙なお爺ちゃんかと思いきや…なかなかやりますね!
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