この記事はオリオン座のギリシャ神話、1等星ペテルギウスの超新星爆発、オリオン大星雲などを紹介します。オリオン座は冬を代表する人気の星座ですね。
これを読めばオリオン座のギリシャ神話、ペテルギウスの超新星爆発やオリオン大星雲などを簡単に知ることができます。
それでは、忙しい日常から離れて、しばし星座と神話の世界へとご案内いたします。
はじめに
日本で一番星が綺麗に見える季節…それは一般的には冬と言われています。
季節風によって大気のチリやホコリが吹き飛ばされ、空気が冷たく乾燥するので空気中にある水蒸気がなくなり、大気が澄んで見えます。
また、冬は日照時間が短いので夜が長く星空を眺める時間もたっぷりある、というわけです。
とはいえ、日本海側や北国では雪などで天候に恵まれないときも多く、また月や惑星を天体望遠鏡で観測するには別の環境が良いという場合もあるので、どんな観測にも冬が最適!ではないようです。
しかし、単純に星や星座を探し、広い宇宙を実感するのであれば、やはり晴れた冬の夜空が一番です。
冬には大犬座、小犬座、オリオン座、それぞれの1等星が描く冬の大三角形を筆頭に、カシオペア座、アンドロメダ座、ペルセウス座、牡牛座、双子座…お馴染みの星座が夜空をパレードしています。
では、冬の星座の中でも一番人気のオリオン座のお話をしましょう。
オリオン座はどんな星座?
オリオン座は全星座の中で一番見つけやすい星座といえます。
ポイントは何はともあれ行儀よく並んだ三ツ星!オリオンのベルトの位置にある3つの星です。
そこから左上の赤い星が1等星のベテルギウス、そして右下にリゲル。
三ツ星を囲むように4つの星が四角形に並んでいます。
これがオリオン座です。あなたも一度は見られたことがあるのではないでしょうか?
実はこのオリオン座、単に見つけやすいというだけではありません。
宇宙の不思議をたくさん持つ恒星や星雲など魅力的な天体が多く存在しています。
1等星のベテルギウスは年老いた星、もしかしたら星が一生を終える「超新星爆発」を起こすのではないか?と言われています。
また、星の生まれ故郷かもしれないオリオン大星雲、偶然にも暗黒星雲が馬の首の形に見える馬頭星雲。
そしてオリオン座に弧を描くように広がる巨大な散光星雲バーナードループ…などなど、どれをとっても興味深い天体がひしめいているのです。
オリオン座は他の星座を探す目印にもなるので、知っておきたい星座です。
オリオン座のギリシャ神話や伝承は?
ギリシャ神話ではオリオンの命を奪ったのは蠍座のサソリ、という話が定番なのですが…実はギリシャ神話にはオリオンが命を奪われ星座になったエピソードは他にもあるのです。
では、オリオンの死の真相とは?ここでは、もうひとつの「オリオン殺人事件の真相」をお話しましょう。
オリオンは海の神ポセイドンの息子。母親は王族の娘、巨人族の娘、アマゾネスなど所説ありますが…大きく強靭な肉体、狩りの名手、父が海の神だけあって水上を歩くことができました。
そして超イケメン。欠点と言えば、自慢話が長い、そして根っからの好色男子、とても早熟な子どもでした。
そんなオリオンは“自分大好きな俺様”に立派に成長したのです。
オリオンは成人すると即、結婚。
妻はとても美しく気高い女性で「私って、ゼウスの妻ヘラより美しいわ!」と自画自賛。
オリオンも「ウチの嫁、スゲーいい女だろ!」と夫婦そろっていたるところで自慢し放題。
このバカップル度合いに、とうとうヘラの怒りが爆発、嫁を捕まえ死者の国へ落としてしまったのです。
妻に先立たれたオリオン。さぞかし哀しみのどん底かと思いきや、立ち直りは意外と早く、さっさと新たな人生を歩き出しました。
狩りをしながら諸国漫遊。時々、女の子の“狩り”までしておりました。
オリオンは仕事もプライベートもすこぶる順調です。
キオス島に立ち寄った時、王の娘に一目惚れ。
自慢の狩りで何度もプレゼントしますが、これが全くなびきません。
仕方なく「娘、頂戴よ!」と王に直談判に行きますが、どうやら彼女にとってオリオンは「タイプじゃないし、超迷惑!」だったのです。
王は神の息子を無下にも出来ず、とりあえず、オリオンに課題を出します。
「島を荒らす狂暴獅子に困ってるのだ。倒してくれたら、娘を説得してもいいかな~?」と無理難題のつもりでしたが、猛獣の1匹や2匹オリオンには朝飯前。
あっさり片付け「ま、これでヨロシクってことで!」と獅子を打ち取ってきました。
「イヤだ、イヤ~だ!!だから~あの人はイヤだって言ってるじゃん!あの人と結婚するなら家出する!」娘は絶対に首を縦に振りません。王もお手上げです。
とうとう、オリオンが娘の寝込みを襲う事件まで発生。
困った王は酒の神に頼み、オリオンを泥酔させ、その隙に無残にも両目をくり抜き、海に突き落としてしまったのです!
…両目を失っても“我は海の子”オリオン君。これでオシマイではありません。
まずは、目を治さなくては、仕返しどころか生活も出来ません。
オリオンは、東の国で最初の太陽を浴びて目を治せ、という神の啓示を受けます。
苦労しながら、何とか東の国に着いたオリオンは、暁の女神エーオースの助けで、日の出の神に目を治してもらい、見事復活!ついでにエーオースともイイ仲に…
陥れられた王への復讐はソコソコに女神とイチャイチャしておりました。
最近、暁の女神の様子がおかしいと、現れたのが女神アルテミス!
アルテミスは月の女神であると同時に処女神ですが…「こちら、私の今彼のオリオンさん」と紹介され、なんと!恋愛に免疫がないアルテミスのハートに火が付いたのです!
こうなると、オリオンのモテ期到来!朝は暁の女神と、夜は月の女神とデートに明け暮れ、時々、他の女性をツマミ食い、プレアデス7人姉妹にもチョッカイ出し、やりたい放題。
それなのに、アルテミスはオリオンと結婚するとまで言い出したのです。
これには、アルテミスの双子の兄・太陽神アポロンが黙っているわけはありません。
「タダのエロガッパじゃないか!オマエ、処女神なんだよ!目を覚ませって!」
今のアルテミスには、オリオンは間違ってもエロい河童などではなく、白馬に乗った王子様。どう説得しても全く聞く耳を持ちません。
ある朝、アポロンは太陽の馬車に乗りながら、妹の目を覚ます策を模索していました。
その時です!朝日に輝く海の中をオリオンが頭だけ出し散歩しているではないですか!“チャ~ンス!!”アポロンは心で叫びました。
「アルテミス、ちょっと来て!ほ~ら、金の岩が流れていくよ。オマエ、弓が得意でしょ?あんなの打てる?」
逆光でシルエットとなった岩が、まさか愛するオリオンとは全く気づきません。
「アポロン、私があの程度を射抜けないとでも思うの?」
アルテミスは得意の弓をさっそうと放ちます。ヒュン!!
矢を受けた金色の岩は一瞬震え、そして、静かにゆっくりと海へ沈んで行きました。
…アルテミスは自分が射抜いたものが“何か”を知ることになるのは、その後のことでした。
一番大切なものを、自分の手で亡き者にしてしまったアルテミス。もう二度と恋はしないと誓い、オリオンを生き返らせようと奔走しますが願いは叶いません。
「アポロン、お主もワルよのぅ~」と神の王ゼウスは、悲嘆にくれるアルテミスを不憫に想い、オリオンを星座に上げ、再びその姿と会えるようにしました。
今も、アルテミスは月に一度、銀の馬車でオリオンに会いに行くのです。
オリオン座ペテルギウスの超新星爆発は?
超新星爆発とは、星が一生を終える時、大きく膨らみ大爆発と共に消えていく現象です。オリオン座の1等星であるベテルギウスは、古代から赤く輝きが変わる不思議な星とされていました。
天文学が進歩するにつれ、ベテルギウスについても解明され、赤い老人星で、今では大きく膨み、たとえば、太陽の位置に置いたとすると、木星辺りまで膨らんでしまっているといいます。
老人星は輝きを増したり、減光したりを繰り返し、エネルギー切れになった時点でドカン!とに盛大な爆発と共に一生を終えるのです。
2019年の秋頃、ベテルギウスは今までにない急激な減光をしていきました。
全天の星々の中でも指折りの大きな1等星だったものの、短期間でベスト20にも入らないほど光が弱くなり、もう輝きは元には戻らないかも?
これは超新星爆発の前兆か?と騒がれましたが、2020年に入り、再び輝きが戻ってきているようです。
科学者や天文家の間でも「まだ超新星爆発には至らない!」とか「必ず起こるはず。ただ、それが明日なのか?何千年か先なのか?」と意見は様々です。
なにしろ、我々の天文学が発達してから、超新星爆発のデータは少ないのです。広い宇宙には私たち地球人には解明できない多くの謎が、まだまだ沢山あるのですから…
ベテルギウスが超新星爆発を起こしてしまったら、もちろんオリオン座の形は変わってしまいます。
ベテルギウスとは「脇の下」という意味で、星座図ではオリオンが腕を上げる脇の部分に位置しています…肩上がらなくなってしまいますね。これではカタナシです。
超新星爆発という現象をこの目で見てみたい気持ちと、オリオン座の形が変わってほしくない気持ち、どちらも悩むところですが…それも全てベテルギウスの運命次第ということです。
オリオン座大星雲とは?
オリオン座の目印ともいえる三ツ星の一番左側の星の少し南に、実はもっと小さな「小三ツ星」といわれる3つの輝きがあります。
小三ツ星は星座図ではオリオンが身に下げた剣として表されています。
後の研究で1つは恒星、そして残りの2つが星雲であることが分かりM42、M43と名付けられました。
どうやら、ベテルギウス以外のオリオン座を形成する若い星々はこの星雲から生まれたのではないか?とも考えられています。オリオン大星雲は星の故郷、星のお母さんなのかもしれません。
また肉眼では見えないのですが、1895年にオリオン大星雲を中心に弧を描くように散光星雲が確認されました。
これがバーナードループ。ちょうど、オリオンの左側、肩から全身を覆っています。このバーナードループは実は遥か大昔の超新星爆発の痕跡ではないかと言われています。
オリオン座は星の誕生も死も、星の一生の痕跡までも秘められているのです。まさに、ゆりかごから墓場まで…これもオリオン座の人気の秘密の1つでしょう。
まとめ
オリオン座のギリシャ神話のあらすじ、1等星のペテルギウス超新星爆発やオリオン大星雲について簡単にまとめました。
オリオンの神話はどれも自身の身から出た錆のような、チョッピリ残念なニオイがしますが、オリオン座は世界中の老若男女、誰でも見つけられる親しみ深い星座です。
日本ではその形から「つづみ星」と言われていたようです。またα星ベテルギウスとβ星リゲルを平家星、源氏星と源平合戦の物語を彷彿させる名前もありました。
作家・宮沢賢治もいくつかの作品の中に「オリオン」を登場させています。
昔も今も小説や歌、モノの名前など様々なものに、「オリオン」はその名前を刻んでいます。
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