この記事は、シュガー「ウエディングベル」の歌詞の意味を考察します。
1979年に発売されたこの曲は、透明感のある美しいハーモニーと結婚式をめぐる皮肉の効いた歌詞が受けて、人気となりました。
それでは、シュガー「ウエディングベル」の歌詞の意味を読み解きます。
シュガー「ウエディングベル」はどんな曲
【ウエディングベル】
アーティスト:シュガー
作詞・作曲: 古田喜昭
リリース: 1981年11月21日(テフォーライフ)
★チャート最高順位
週間2位、1982年度年間13位(オリコン)
この曲は1981年11月にコーラストリオ「シュガー」のデビューシングルとして発売されました。
透明感のある美しい歌声のハーモニーにのせて、繰り広げられるのは、結婚式をめぐる皮肉の効いた狂騒曲。
1982年度のオリコン・シングルチャートでは年間ランキング13位、売上枚数は48.5万枚を記録しました。
シュガー「ウエディングベル」の歌詞の意味を考察
歌詞を読めば、そこに綴られているのは、飾らない、どこにでもいる年頃の女の子の切ない本音と強がり…。
それは、もしかしたら、あなたも共感できるぐらい、ありふれた悩みかも知れません。
主人公の女性のもとへ、元彼から結婚の招待状が来たのは、別れて半年後のことでした。
水色の封筒に、クローバーをくわえた白いハトのシール。
(彼の恋人が選んだのね。いかにも女の子が好きそうなデザインだもの…)
招待状の『欠席』に丸をつけようとしましたが、悪趣味な好奇心が頭をもたげました。
(新婦になる女って、あたしより美人かしら?)
そうして、プライドより好奇心が勝った今、彼女は白いチャペルの教会の、一番後ろの席に、一人寂しく座っているのです。
薄いシフォンのドレスをまとった花嫁は、小柄で丸顔の可愛らしい感じの人で、彼女とはあまり似ていません。
(「俺は、ぽっちゃりした子は好きじゃない」って言ってたくせに。あのドレスなら、あたしのほうが似合うわ!)
彼女は、同じシフォンのドレスを身にまとい、彼とともに祭壇に上がる自分の姿を想像します。
(別れてたった半年よ?「俺は結婚願望は無い。お前の愛は重いんだよ」なんて振っといてさ。あたしを呼ぶなんて、どういう風の吹きまわし…)
その時、彼女はハッとして目を見開きました。
(復讐よ!あのときのあたしのセリフを根に持ってるんだわ。ネチネチ、いやらしい男!)
彼女は、最後に彼と大喧嘩したときの捨て台詞を、口の中で呟きました。
(くたばっちまえ!)
一方で粛々と式は続きます。
耳をふさいでも、永遠の愛を誓いあう言葉が聞こえ、まぶたをきつく閉じても、うっとりと見つめ合い、指輪の交換をする二人がまぶたの裏に浮かびます。
(何が「病めるときも健やかなるときも」よ!3年間寄り添っていたのは、このあたしよ?)
交際して2年、同棲をはじめて1年。
そろそろプロポーズの言葉がもらえると信じていました。
誕生日にクリスマス、バレンタインデー、いつだって心待ちにしていたのに。
彼が、お化粧の香りを嫌がるから、いつもすっぴんでいました。
彼が、可愛い服を好むから、いつも好きでもないピンクを身に着けていました。
(「可愛いね」って最後に褒められたの、いつだっけ…。付き合いたての時は、優しかったのにさ。
釣った魚に餌をやらないって、ほんとだわ!いつも「仕事が忙しい」なんて言い訳して、あの子と浮気してたのよ!)
そもそも大喧嘩の理由も、彼女が購入したウエディングガイドブックがきっかけです。
「いいかげん将来のこと考えてよ!」
「まだ早いよ」
「女にはタイムリミットがあるのよ!」
押し問答の末、彼は荷物をまとめて出ていきました。
彼女はもういちど小さな声で呟きました。
(くたばっちまえ!二度と生まれ変わってくるな!)
そんな彼女の気持ちと裏腹に、盛大な拍手の波の中、新郎新婦が近づいてきました。
しかし新郎は、彼女の挑むような視線に気づきもしません。
寄り添う新婦は、感動のあまり瞳にいっぱい涙をためています。
(お嫁さん、あんたの夫になる人は、二股をかけるような不誠実な男よ。
浮気性ってやつは死んでも治らないのよ。せいぜい、あたしの二の舞にならなきゃいいですけどね!)
彼が一歩、一歩、足音を響かせて近づいてきます。
満面の笑顔です。
(こんな嘘つきと結婚しなくて良かった。一緒になったら、この先、何度、泣かされるかわからないわ。)
彼女は膝の上でハンカチを握りしめました。
(でも、このまま黙って引き下がると思わないでよ。皆の前で、あんたたちにぴったりの餞の言葉を送ってあげるわ。
『おめでとう、彼女1号と彼女2号が揃って、まさに両手に花ね。花嫁さんもさぞかしいい気分でしょうね、浮気相手から本命に昇格できたんだから。
あら、やだ、何を青ざめてるのよ、ほんとのことでしょ?あんたたち、二人まとめて地獄に落ちたらいいのよ。
冥途の土産にはなむけの言葉を送ってあげるわ、『くたばっちまえ、アーメン』)
1980年代は、女性が強くなった、と言われる時代です。
女性が、今までの社会が理想とするイメージの呪縛から解き放たれて、素の自分を出せるようになった、ということでもあります。
この歌がヒットしたのも、そういう時代の移り変わりがあってこその事だったのでしょう…。
まとめ
シュガー「ウエディングベル」の歌詞の意味を考察しました。
主人公の恋人だった男性が別の女性と結婚することになりますが、なんと結婚式場の教会への招待状が彼女の元へと届きます。
その女性は意を決めて式場に参列しますが、新郎新婦の晴れ舞台を目の前にして、心の中で皮肉、うらみ、つらみの気持ちを思う存分にぶちまけます。
主人公の女性の威勢の良さも感じもしますが、その反面、彼女の心の中にある別れた男性に対する未練や自分自身に対する何とも言えないやりきれなさをも感じます。
彼女はそうしたモヤモヤした気持ちをズルズルと引きづっていたからこそ、あえて別れた恋人の結婚式に出席したのでしょう。
そして、気持ちのけじめを付け、リセットして、新たなスタートを切ろうとしたのではないでしょうか。早く立ち直り、幸せになって欲しいと思います。
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