この記事は、こと座のギリシャ神話のあらすじ、こと座α星ベガ、リング星雲について紹介します。
こと座はギリシャ神話の「オルフェウスの竪琴」で知られる星座です。
あなたもこれを読めば、こと座のギリシャ神話のあらすじ、こと座α星ベガ、リング星雲を知ることができます。
こと座はどんな星座?
「こと座」の琴とは、もちろん日本の6本の絹の弦のある細長い和琴ではありません。
紀元前1000年以上も前の古い星座図にも描かれているギリシャの竪琴(たてごと)です。
「こと座」は古く歴史のある星座です。
季節によって時間は異なりますが、こと座は1年中見ることができます。
なかでも「夏の大三角形」と共に見上げる夏の夜空が「こと座」の一番の見頃ではないでしょうか?
では、こと座の探し方、まずはα星ベガを見つけましょう。
目印は夏の大三角形。
この3つの星はどれも明るく目立つ星で、その中で一番明るい星がベガだと思ってよいでしょう。
ベガは全天で5番目に明るい星です。8月の20時前後ならベガはほぼ天頂近くにあるはずです。
ベガを確認出来たら、その近くで3等星、4等星が小さな平行四辺形を作っています。
これが琴の弦。こと座は意外と小さい面積の星座です。
ご存知のとおり、ベガは七夕の「織姫星」としても有名です。
これは中国から日本に伝わった伝説ですが、ベガの白く大きな輝きは、ヨーロッパでも「真夏の女王」と呼ばれ、女性をイメージしていたようです。
こと座のギリシャ神話、オルフェウスの竪琴とは?
「こと座」の神話は、戯曲や絵画でもモチーフとなったギリシャ神話の「オルフェウスの竪琴(たてごと)」の物語です。
亡くなった妻を迎えに冥界へ行き、約束を守れなかったために妻を取り戻せなかったオルフェウスのお話。聞いたことありますよね?
では、オルフェウスの竪琴の物語を紹介しましょう。
オルフェウスの父は太陽と音楽の神アポロン、母は芸術の女神カリオペと言われています。
芸術を司る両親の子という事もあり、幼い頃からオルフェウスは音楽の才能を発揮。
アポロンは「コイツ、なかなかイケるかもしれない」と自慢の竪琴を息子に与え英才教育をしました。
成長したオルフェウスは素晴らしい竪琴の名手になります。
その演奏は神や人間はもちろん、獣から草木まで全ての生き物は聞き惚れて骨抜き状態になるほどの超スーパーアーティストとなりました。
プライベートも絶好調!
美しい泉のニンフ(妖精)エウリディケと大恋愛の末に結婚。
神の子には珍しく、妻一筋の愛妻家。幸せな毎日でした。
しかし、運命とは意地悪なもの。
新婚早々、エウリディケが毒蛇に噛まれて亡くなってしまうのです!
オルフェウスはあまりの哀しみに眠れず、食事ものどを通らず、悩みに悩み続けた末、ある考えに至りました。
「そうだ、冥土へ行こう…」
旅行じゃありません。自ら死ぬのでもありません。
冥界へ行ってエウリディケを連れ帰ろう、と決心したのです。
お供はこの竪琴1つ。
音楽こそ右に出るものはいませんが、武芸に関しては…。
近所のオバサンにも太刀打ちできません。
もしもの時は竪琴で勝負です。
オルフェウスは勇気を出して冥土への長い道を下って行きました。
途中、冥界の門番カロンや番犬ケルベロスなど奇妙な用心棒を竪琴の音色で降参させます。
「いいね!君の竪琴。どうぞ、どうぞ、もー好きに通っちゃって」と、武力はなくても竪琴1つの快進撃です。
そして、とうとう冥界の王ハデスと対面。
嫁、返して!
だめ!!
ここまで来るの苦労したんだよ、頼みます!
お前の嫁は死んだんだから、それはムリ…。
じゃ、まぁ~とりあえず、1曲いかがですか?
結構で~す。
サービスでもう1曲、今なら、さらに、もう1曲おつけしちゃいますよ!
勝手に弾けば?でも嫁は返さない。決まりだもん!
まったく話が進展しないその時、助け舟を出したのはハデスの妻・冥界の女王ペルセポネでした。
ペルセポネもハデスによって愛する母(豊穣の女神デメテル/乙女座)と引き離された身、他人事とは思えなかったのでしょう。
ハデスぅ~、今ならまとめて3曲だって。お得じゃん!私、聞きたい!弾いたら、奥さん返せば~。
ペルセポネがそう言うなら…じゃ、弾いてよ。帰るとき、嫁はお前の後ろについて行かせるから。
でも地上に着くまで絶対振りむいちゃダメだよ。振り向いたら逆クーリングオフ期間として、即こちらに返してもらうから。
ようやく約束を取り交わしたオルフェウスは、自慢の竪琴でミニコンサートを開催、無事帰途につきました。
しかし、妻の足音や気配を全く感じません。でも約束は約束です。
不安や疑心で振り返りたい衝動を必死に抑え、つまらないギャグやダジャレを答えぬ妻に話しながら、ひたすら出口を目指します。
やっと出口です!オルフェウスが地上に一歩足をつけた時!
やった~!エウリディケ。帰って来たよ~!
と振り返った瞬間!
まるで吸引力抜群の掃除機に吸い取られる米粒のように、もの凄い勢いでエウリディケが冥界に吸い込まれてしまいました。
△~○※■♯♦・♫♦*゚¨・*:..。♦~!
最後に叫ぶエウリディケ。
早すぎて、何といったかは分かりませんが多分、「なぜ振り返ったの?私はまだ地上の土は踏んでないわ~」的な言葉だったのでしょう。
そう、うっかりオルフェウス君は…振り返ったのが早すぎたのです。
再び冥界へハデスに懇願に出向きましたが、約束を守れなかったのはオルフェウスです。
今回は門番のカロンもケルベロスも竪琴には目もくれず、二度と冥界の扉をくぐることは出来ませんでした。
その後、オルフェウスは憔悴し妻の後を追うように亡くなったといいます。
神の王ゼウスもアポロンも、“オルフェウスの竪琴”をとても残念に思い、その竪琴を星座にしたとか…。
実は、このオルフェウスの死の真相には様々な説があります。
「悲観して川で身投げをした」叉は「ゴロツキに絡まれて、殺され川に投げられた」。
更には、祭り夜に酔ってハメを外した女たちに「可愛いお兄さ~ん、遊ばない?まずは1曲弾いて~」とからかわれます。
しかし、オルフェウスは「下品なお前たちに奏でる竪琴はねぇ!」と暴言を吐き、女たちの怒りを買い八つ裂きにされ川に捨てられた、というもの。
どの説も最期は川でしたが、亡骸はなく、竪琴だけが見つかった、と。
妻一人を一途に愛し続けたオルフェウス。
「〇〇不倫」が話題になる昨今、そんな人は少しはオルフェウスを見習うべきかもしれませんね。
こと座α星ベガやリング星雲とは?
こと座の面積は小さいですが、興味深い天体が多くあります。
「α星ベガ」「リング星雲」「球状星団」、そして三大流星群ほど大きくはありませんが、毎年4月には流星群も現れます。
では、こと座の自慢とするベガとリング星雲について、もう少しご紹介しましょう。
「α星ベガ」は肉眼ではわかりづらいですが、実は変光星です。
現在も天頂付近にありますが1万2千年ほど未来には…地球の北半球の天頂。
いわゆる北極星になるだろうと予測されています。
また、近年の観測でベガには惑星系があるのでは?
しかも惑星系があるならば、太陽系と似ている可能性も!
これは、さらに興味深いですね。
「M57 惑星状星雲」別名リング星雲。
ドーナツ星雲とも言われています。
色とりどりのリングのような愛らしい星雲です。
天体写真などで見ると赤い縁に黄色い環、真ん中は青(宇宙色)。
まさにドーナツのような、奇妙な色のゆで卵の切り口のようです。
これは、こと座の平行四辺形のベガから一番遠い短い辺、β星とγ星の間にあります。
天体写真ほど色鮮やかに見ることは難しいですが、家庭用の天体望遠鏡でも、まるでタバコの煙で作った煙のような輪が見えます。
この星雲は惑星の終盤の姿。ガスが球状に光って見えるのです。
まとめ
こと座のギリシャ神話「オルフェウスの竪琴」のあらすじ、こと座α星ベガやリング星雲について紹介しました。
「こと座」は小さい星座ですが、ギリシャ神話の「オルフェウスと竪琴」は印象に残る話ですね。
日本神話のイザナギとイザナギの黄泉(よみ)の国の話とも似ており、興味深いです。
ベガの正体も、惑星系の存在も、またリング星雲も、今後の研究が楽しみです。
「こと座」を取り囲む星座たちも魅力的です。
何より、夏の夜空を楽しむにあたり、天の川のほとりにあることは、まさに夏の夜空で夕涼み、といったイメージです。
都心や住宅地などでは残念ながら天の川まで見えないかもしれませんが…。
天の川の対岸に「ベガ」と「アルタイル」。
その2つの星に向かっていくように大きな白鳥の「デネブ」が見守っているようにも見えます。
都会を離れ大自然の中で天の川ごと観られたら…。
さぞかし美しいことでしょう。
そうそう、七夕の話もありましたね。
こと座のベガが織姫、わし座のアルタイルが彦星…中国から伝わった七夕伝説。
これは、また別の機会で…
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