この記事はスダチの木の育て方、地植え・鉢植え、剪定や肥料、病害虫を紹介します。
スダチは独自の上品な香りが、料理の引立て役などに使われ、魅力の果樹ですね。
あなたもスダチの木の育て方、地植え・鉢植え、剪定や肥料、病害虫を知り、育ててみませんか。
これを読めば、スダチの木の育て方が分かるだけでなく、果樹を育てる楽しみなどもお気づきいただけることでしょう。
スダチの木の基本情報
まずは基本情報を見てみましょう。
スダチの木は1本で実がなり、初心者にも栽培が簡単です。
比較的コンパクトに育てられるので家庭栽培には適した果樹です。
基本情報
園芸分類 | 果樹 (ミカン科) |
形態・樹高 | 低木 ・ 1.5~2m |
結実まで | 庭植え 4~5年 、鉢植え 3~4年 |
栽培適地 | 東北地方以南の地域 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | ふつう |
受粉樹 | 不要 |
特性・難易度 | 常緑性・初心者でも育てやすい |
スダチの木は徳島県原産の果樹です。
名前は古くから食酢として利用されていたことから「酢橘(すたちばな)」と呼ばれ、これが転じてスダチとなったといわれています。
食酢として利用される樹高の高くない同種の果樹にカボス、ハナユがありますが、特徴は以下のとおりです。
品種名 | 樹勢 | 成熟期 | 特徴 |
スダチ | 弱 | 8月中旬~10月中旬 | 豊産性でつくりやすい。 隔年結果になりにくい。 |
カボス | 中 | 9月中旬~10月中旬 | 果実は大きく、隔年結果になりやすい。暖地向き。 |
ハナユ | 弱 | 8月中旬~12月上旬 | 果実はユズよりも小さい。一才ユズとも呼ばれる。 |
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スダチの酸味はクエン酸ですが、クエン酸は疲労回復、生活習慣病を予防するなどの効能があります。
ビタミンCも豊富に含みますが、美容や風邪の予防などにも効果があります。
その他、スダチはビタミンA、カリウム、カルシウムなどの有用成分も含み、健康に良い果樹です。
スダチの木の栽培カレンダー
年間の栽培カレンダーです。
次に栽培カレンダーにもとづいて、植付から剪定、開花、果実管理、施肥、収穫について説明していきます。
スダチの木の植え付け(地植え、鉢植え)は?
地植え 3月
植え付け場所は日当たり、水はけや風通しの良く、冬季に寒風が当たらない場所を選びます。
時期は3月の春植えが適しています。
苗木は植え付ける前にポットから出して根を半日くらい水に付けて十分ぬらしておきます。
植え付ける穴は直径40cm、深さ40cm位の穴を掘ります。
掘り上げた土に半量くらいの腐葉土を混ぜ合わせ、その半分を油かす、牛ふんまたは鶏ふんをそれぞれ約1kg混ぜ合わせます。
油かす、牛ふんまたは鶏ふんを混ぜ合わせた土を先に埋め戻し、次に腐葉土を混ぜ合わせただけの土を戻します。
植木の根を放射状に広げて穴の中央に植え、残りの土をかけます。
水はたっぷりと十分に与えます。
土をかぶせて地面よりも多少高い位置(20~30cm)に植える浅植えが基本となります。
根元に土を戻すときに接木部が土に埋まらないように注意します。
植え付け後は地上部を高さ40~50cmで切り戻し戻して、風が吹いた時に苗木が倒れないように支柱を立て固定します。
鉢植え 3月
基本的には庭植えの場合と同様です。
1年生の苗木は7~10号(直径21~30cm)位の鉢を使用します。
用土は果樹用の培養土に緩効性の固形肥料を混ぜて使用します。
まず、鉢底ネットを敷き、鉢底石を入れ、鉢の半分位の深さまで土を入れます。
次に植木の根を放射状に広げて穴の中央に植え、残りの土をかけます。
棒などて突いて隙間などがないようにします。
接木部が土に埋まらないように注意します。
水はたっぷりと十分に与えます。
風が吹いた時に苗木が倒れないように支柱を立てを固定します。
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植え替え 3月
鉢植えの場合は鉢の中で根が詰まってしまうのを防ぎ、通気を良くするために行います。
鉢の大きさや成長の度合いにもよりますが、2年に1回程度は必要です。
また、鉢植えから地植えにする植え替えする時も植え付けと同様に3月が適しています。
スダチの木の実のつき方、仕立て方、剪定は?
実のつき方
スダチの木も他の柑橘類と同様に前年に伸びた枝の先端付近から中間に花芽(混合花芽)がつき、そこから伸びた新梢に花が咲き、実をつけます。
前年に実をつけた枝には花芽がつかず、1年おきに枝葉の伸長と結実を繰り返します。
仕立て方
樹形は関心自然形、またはほうき仕立てに仕立てます。
関心自然方形とは、主幹を短くし、主枝を2~4本配置した樹形です。
ほうき仕立てとは、ほうきを逆に立てたような自然の樹形を生かした樹形です。
剪定 3月
剪定の適期は3月です。
混み合った枝を間引くことを主体に行い、木の内側まで光が当たるようにします。
花芽が付いている枝の先端は切り返さないようにします。
スダチの木にはトゲがあるので剪定を行うときは、長袖のシャツと手を保護する皮手袋などを着用して行ってください。
剪定することで見た目を良くするだけでなく、風通しを良くして木の生育を正します。
実をつけすぎたり、全く実がならないことを防ぐなどの効果もあります。
木をコンパクトにすることもできます。
スダチの木の開花、摘果、収穫は?
開花 5月
白い可憐な花が咲きます。
単為結果性といって受粉しなくても実がなるので人工受粉は必要ありません。
摘果 6月下旬~7月
柑橘類は、ついた果実をすべて成熟させると隔年結果といって、果実がたくさんつく年とつかない年が交互にあらわれやすくなります。
自然に果実が落下する生理落果が終わった頃、上向きの実や重なり合う実や傷んだ実などを摘み取ります。
最終的に葉4~5枚当たり1果を目安に残します。
摘み取った実も皮をすりおろして薬味として料理に使えます。
収穫 8月中旬~10月中旬
風味が強く香りが爽やかな果実が緑色のうちに収穫します。
11月頃まで果実を木に残すと黄色く色づきますが、風味が落ちてしまいます。
あまり長く木にならしたままにすると寒さに当たって傷むので気をつけます。
スダチの木の肥料の与え方、水やりは?
肥料の与え方
元肥 3月
元肥は、春枝の成長を促すため、堆肥や油かすなどの肥料の効きが緩やかで、一定期間効果が続く有機質肥料を与えます。
追肥 10月
追肥は、秋枝が発生しなくなった頃、すぐに効き目のあらわれる即効性の化成肥料を与えます。
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水やり
植え付けの直後や乾燥する時期はたっぷりと水やりをします。
夏場は土が乾燥しないように注意します。
鉢植えの場合は特に乾燥しやすいので土の表面が乾いたら水やりをします。
スダチの木の栽培での病気や害虫は?
柑橘類は以下の病害虫が発生することがあるので注意します。
かいよう病
細菌による病気で雨の多い梅雨時期に発生します。傷口から細菌が侵入し、黄色い斑点ができ、感染した部分が固くなり表面がガサガサしてきます。
傷口から感染するので、傷の原因となるとげを取り除き、害虫にも気をつけます。
強風にあたらない場所で栽培し、多肥にも注意します。
病気にかかった部分をとりのぞき焼却処分します。
そうか病
発芽したての若い芽に発生します。葉に白い斑点があらわれ、やがてぶつぶつ状の突起が生じます。
果実には淡褐色の斑点ができ、盛り上がります。長雨や窒素肥料の多肥に注意します。
病気にかかった部分をとりのぞき焼却処分します。
黒点病
5~9月頃にかけて葉、枝、果実に小さい黒い斑点があらわれます。
病原菌は枯れ枝で越冬します。伝染源となる枯れ枝をとりのぞき、焼却処分します。
アブラムシ
新芽が伸び出すころ発生し、葉が萎縮して巻き込みます。
葉の裏側にいることが多いので葉の裏側も良くチェックします。
早期に発見し、水で吹き飛ばすか、捕殺します。
多発する場合は殺虫剤の散布も検討します。
カイガラムシ
貝殻のような殻をかぶり枝葉に集団寄生する白い虫で、樹液などを吸いすす病を起こしたり枝を枯れさせたりします。ブラシなどでこすり落とします。
アゲハチョウの幼虫(青虫)
幼虫が葉を食害するため、見つけしだい捕殺します。
葉裏を見て卵を発見したら取り除きます。被害が激しい時は薬剤を使用します。
特に木が若いうちは発生しやすくなります。
まとめ
スダチの木の育て方、鉢植え・地植え、剪定や肥料、開花、摘果、収穫、肥料、水やり、病害虫などについてまとめました。
スダチの木は1本で実がなり、初心者にも栽培が簡単です。
比較的コンパクトに育てられるので家庭栽培には適した果樹です。
収穫したスダチは独自の上品な香りがあり、料理や飲み物を引き立ててくれます。
家庭にスダチの木が1本あると手軽に料理や飲み物に入れることができて便利です。
また、家に実のなる果樹があることで庭やベランダなどに美しい彩りを与えてくれます。
スダチの栽培をとおして自然とふれあい、季節の変化をより細やかに味わえます。
あなたもスダチの木の栽培を始めて新鮮で爽やかな果実を味わってみませんか。
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