中原理恵「東京ららばい」の歌詞の意味を考察!やりきれなさを癒す子守歌 | カモシカおやじの趣味ブログ

中原理恵「東京ららばい」の歌詞の意味を考察!やりきれなさを癒す子守歌

昭和歌謡
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この記事は、 中原理恵「東京ららばい」の歌詞の意味を考察します。

1977年に発売されたこの曲は、都会で一人暮らす女性のさまざまな想いをスタイリッシュな歌唱で魅了して、人気となりました。

それでは、中原理恵「東京ららばい」の歌詞の意味を読み解きましょう。

 

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中原理恵「東京ららばい」はどんな曲

【東京ららばい】

アーティスト:中原理恵

作詞:松本隆

作曲:筒美京平

リリース: 1978年3月21日(CBS・ソニー)

★チャート最高順位
週間9位、1978年度年間38位(オリコン)

「東京ららばい」は1978年3月に中原理恵のデビュー・シングルとして発売されました。

女性の自立が声高に叫ばれ、一人暮らしが当たり前になったこの時代、都会で一人、たくましく生きる女性の胸の内を歌ったこの曲は、同世代の女性たちの共感を呼びました。

 

中原理恵「東京ららばい」の歌詞の意味を考察

今夜も都会の片隅で、ひっそりとドラマが生まれようとしています。

その日、夜遅くに仕事を片づけた彼女は、珍しく、まっすぐに家には帰りませんでした。

 

だいたい、家に帰っても、出迎えてくれる人はいません。

くたびれた重い体を引きずって、化粧を落として寝るだけの生活がここ数日、ずっと続いています。

そんな日々に嫌気がさしていたのもあったのです。

 

彼女は、港町で生まれ育ったせいか、無性に海が恋しくなる時があります。

そんなとき、彼女は決まって東京湾を訪れるのです。

 

潮風に思う存分、髪をなびかせた夜は、湾岸沿いの古いバーを訪れるのでした。

「いらっしゃい」

蝶ネクタイを締めたマスターが軽く手を上げます。

 

今日は常連の姿は誰もなく、その代わり、年配の恰幅の良い男性が座っていました。

少し眉をしかめ、ブランデーを噛みしめるように味わう姿には、そこはかとない哀愁と品が漂っています。

ブランデーは、マスターおすすめの上物らしく、芳醇な香りが、こちらにまで伝わってきました。

 

 

マスター、あたしも同じのちょうだい

マスターがブランデーを注ぐと、彼女はゆっくり琥珀色の液体を堪能しました。

おいしい。もっと苦いかと思ってたわ

「だろう?この味が分かれば、いっぱしの大人の仲間入りだ」

 

隣の例の客が、微笑み、話しかけてきました。

お嬢さん、名前はなんていうの」

ミツコ

 

随分、古風な名前だな

『夜間飛行』からのインスピレーションよ。知らない?ゲランの香水

 

男は感心したように顎を撫でました。

…なるほど、俺たちは夜間飛行のパイロット、さしずめ、サン・テグジュペリってとこか。

洒落た答えだな

 

ありがと、ニナ、ココって呼ばれたときもあったかな…。

今はね、ミツコの気分なの。

あなた、『星の王子様』を気取るにしては、貫禄がありすぎるわね

二人は顔を見合わせて吹き出しました。

 

 

しかし、彼の左頬に小さなえくぼを見つけたとき、彼女の心に暗い影が差したのです。

彼女の恋人も、笑うと可愛らしい、片えくぼができるひとだったからです。

東京に出て5年、彼と暮らし始めて2年…。

 

母の手縫いの一張羅を着て、東京駅に降り立った少女は、いつの間にか垢抜けた大人の女性になっていました。

人に揉まれて、都会の水に洗われて、いつしか嘘をつくのも上手くなりました。

 

あれだけ憧れた大都会がくすんだ灰色に見えたころ、出逢ったのが彼でした。

ギターを背負い、真っ黒に日焼けした青年は、彼女の心の宿り木になりました。

そんな彼が、家を留守にしたまま、帰ってこなくなったのは一週間前のことです。

彼のコーヒーカップも歯ブラシもそのままでした。

ただ、ギターと少しのお金が消えていました。

 

今朝も熱いシャワーを浴びながら、彼のことを考えました。

仕事に打ち込んでいれば、彼のことは忘れられます。

しかし、朝、目覚めて彼の不在を確かめると、どうにもやりきれない気分になるのです。

 

…こんないい女を悲しませるとは、罪な男だね

男の言葉に、彼女の肩がぴくりと震えました。

 

人の心を覗き見する男は嫌いよ

 

率直な感想を言ったまでさ。

その憂いをたたえた横顔を見りゃ、何があったかは一目瞭然だ。

彼女はまなじりをつり上げ、吐き捨てるように言いました。

 

ほっといてよ。あたしと遊んでくれる男なんてたくさんいるわ。

若くて綺麗なうちなんてあっという間よ、今のうちに楽しまなきゃ

 

よしなよ

男の目が、父親のように深い眼差しになりました。

ミツコって言ったな。

自分を下げるもんじゃない。あんたは賢いお嬢さんだ。

そんじょそこらのくだらない男に安売りしちゃ勿体ないぜ

 

…自分がいい男だとでも、言いたそうね、何よ、男なんか…。一皮むけば、どいつもこいつも自分のことしか考えてないんだから

 

男はため息をつくと「だいぶ酔いが回ってきたようだな。もう帰りな。送るよ

 

いいわ、車拾うから。ちゃんと一人で帰れます

ひらひらと手を振ると、彼女はひとり、店の外へ出ていきました。

 

ビルの谷間にぽっかり浮かぶ、月が綺麗なこんな夜は、ふと故郷が恋しくなります。

ねんねんころり、ねんころり…。

母から聴いた子守歌を口ずさむと、不意に涙がこぼれてきました。

東京タワーの赤い光が、ぼんやり滲んで見えます。

 

そうよ、いつも大切な物って、失って初めて気がつくんだわ。

あんなに嫌で嫌で仕方なかったふるさとなのに…。

いつもそばにいるのが当たり前だったあの人なのに…。

そうよ、皆、ないものねだりなのよ…。

あんたは、いい子だ、ねんねしな…。

 

ほんのりほの白く、明けてきた空に、彼女の寂しい歌声が響きます。

午前4時、眠らない街にささげる子守歌です。

 

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まとめ

中原理恵「東京ららばい」の歌詞の意味を考察しました。

「ららばい」とは英語で表記は lullaby、「子守歌」の意味です。

大都会・東京で一人暮らしをする主人公の女性は、仕事などで疲れ、神経をすり減らす日々…。

恋愛も上手くいかない様子。

 

東京には大きなビルも地下街もタワーもありますが、愛も夢も明日もないとため息がもれます。

しかし、ねんねんころり…と子守歌を口ずさむと少しだけホッとして癒されるのでした。

今夜は疲れているのでぐっすりと眠り、明日の朝は元気に復活されますように…。

 

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